2022 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造の3Dアトラスから迫る樹状突起のコンパートメント制御と精神疾患
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
21H00205
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今井 猛 九州大学, 医学研究院, 教授 (70509851)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 樹上突起スパイン / 大脳皮質 / 統合失調症モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の精神活動は、遺伝子の階層から細胞、神経回路、組織・臓器、個体間のレベルまで様々な階層の相互作用の結果として生じる。近年、遺伝子の階層に関しては、多くの遺伝子が精神疾患リスク因子として同定されたが、個々の遺伝子変異がどのようにニューロンの形態や機能に異常をもたらし、行動レベルの破綻をもたらすのかは明らかになっていない。ニューロンにおいては、個々のシナプスの大きさが100 nm~1 umのスケールである一方、樹状突起や軸索をmmのスケールに亘って伸ばしており、従来、その全体像を記述することは容易ではなかった。 そこで、申請者は個々のシナプスの形態をニューロン全体に亘って正確に記述するための手法として、透明化超解像イメージングを独自に確立した(Cell Rep, 2016)。この手法を用いてマウス大脳皮質錐体細胞におけるスパイン分布の包括的解析を行ったところ、思春期特異的に劇的にスパイン密度が増える領域(尖端樹状突起中央部)が存在することが明らかになった。そこで本研究では、5層ニューロンの微細構造の3Dアトラス作成を通して、統合失調症関連因子がニューロンの微細形態や機能に及ぼす影響を検討した。schnurri-2 KO、NR1 KO、Setd1a KO、ドミナントネガティブDISC1、のいずれにおいても思春期におけるスパイン形成が損なわれていることが判明した。また、ヒゲ除去の実験から、この過程には感覚経験が必要であることが判明した。さらに、このスパイン密度増加と樹状突起スパイク生成の関係について、現在脳スライスを用いた検討を行っている。以上の結果から、思春期には、スパインの除去ではなく、スパイン形成不全が生じることで統合失調症の何らかの異常につながっている可能性が示唆される。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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