2021 Fiscal Year Annual Research Report
組織修復の時空間制御を司るシンギュラリティ細胞の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
21H00425
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榎本 将人 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (00596174)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 組織修復 / 少数細胞 / 細胞間相互作用 / ショウジョウバエ / Zfh1/ZEB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物において傷害を受けた上皮組織は、炎症応答・増殖・再上皮化など複数の生体応答を時間軸に沿って引き起こすことで損傷を修復し再生していく。しかし、損傷組織では多数の細胞がその挙動を動的に変化させながら、組織の修復を時間軸に沿って促すことがからその制御メカニズムにはいまだ不明な点が多い。そこで本研究では、ショウジョウバエ上皮の組織傷害に応答して損傷組織内に出現する少数のZfh1/ZEB1発現細胞を「修復制御シンギュラリティ細胞」と定義し、その時空間動態メカニズムとこれらの少数細胞がどのように損傷組織の修復と再生を駆動していくか、その分子メカニズムを遺伝学的解析やライブイメージング技術を駆使することで明らかにする。 当該年度では、Zfh1細胞の出現機構を中心に解析を進めた。ショウジョウバエ上皮である翅原基に物理的傷害を誘導すると、組織修復プロセスでZfh1細胞はJNKシグナルを活性化した細胞集団の中で出現することが遺伝学的解析から分かった。損傷上皮におけるZfh1細胞の挙動を解析すると、Zfh1細胞は特定の場所やタイミングで出現するわけではなく、その出現パターンは時空間的にランダムであることが分かった。さらにZfh1細胞の空間パターンの解析を進めた結果、Zfh1細胞は損傷組織に誘引してきたマクロファージの周囲の上皮細胞で起こっていることが分かった。さらに、損傷上皮に誘引してきたマクロファージ集団の一部もZfh1を発現していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zfh1発現細胞のランダムな出現パターンがマクロファージとリンクしていることが分かり、Zfh1細胞の出現機構が上皮とマクロファージとの相互作用が関わる可能性が見えてきた。またマクロファージ自身もZfh1細胞を発現していることから、Zfh1細胞が起点となるシンギュラリティ現象に対して免疫細胞も関わる新しい展開が見えてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上皮とマクロファージの相互作用に着目しつつZfh1の出現機構の解析を進めると共に、組織修復プロセスにおけるZfh1細胞の時空間動態をライブイメージングで明らかにしていく。またZfh1細胞が組織修復をどのように制御しているか、その機能・役割を遺伝学的解析により明らかにしてく。
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Research Products
(11 results)