2021 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of axially chiral metal complexes for dynamic excitons
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic Exciton: Emerging Science and Innovation |
Project/Area Number |
21H05400
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 利和 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20643513)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 軸不斉 / 回転障壁 / ビピロール / シッフ塩基 / ホウ素錯体 / メカノフォア / エラストマー / ポリウレタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビピロール系シッフ塩基配位子をモチーフとした多核ホウ素錯体の創製を通じて、旗蝶番型色素の系統的な合成を実施している。1つ目の目標として、軸不斉の導入によるキラリティ発現を通じた円偏光発光材料の創製を行うこと、2つ目の目標としては、分子のコンフォメーション変化を利用したメカノフォアの創製を目的としている。 1つ目の軸不斉の導入によるキラリティの発現は、ビピロール部位に嵩高い置換基を導入することで達成でき、実際合成した四核ホウ素錯体の光学分割を行うことにより、鏡像関係の円二色性スペクトルや円偏光発光特性の観測を達成した。置換基の導入や共役拡張等を施すことにより 、緑色から橙色までの多色発光を示しかつ、発光量子収率が最大で100%を示す材料の創製を達成した。単結晶X線構造解析や計算化学を駆使することにより、構造と光学特性に関する詳細な議論を行った。 2つ目のメカノフォアの創製に関する研究では、先述した化合物にヒドロキシ基等の反応部位を導入した四核ホウ素錯体を新たに合成し、ポリウレタンの架橋点として組み込んだエラストマー材料の創製を行った。キャストフィルムもしくはホットプレスで作成したフィルムの創製を行ない、引張応力下における発光スペクトル測定を実施した。結果として、エラストマー材料を750%延伸することにより、発光波長が6nm程度長波長シフトする挙動が観測され、期待したようなメカノフォアとして機能する知見が得られた。これは旗蝶番型色素のコンフォメーション変化に由来するものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1つ目の研究における軸不斉の導入にによる円偏光発光材料の開発においては、当初計画していたように 軸不斉を発現でき、キラルカラムで光学分割後に得られたエナンチオマーが溶液及び固体中において円偏光発光特性を示す挙動を明らかとした。これらの化合物が固体中でも比較的強く発光し、かつ凝集状態で発光波長の長波長シフトが観測される現象を利用することで、四核ホウ素錯体のポリマー分散フィルムを創製することで、円偏光発光の多色化を達成した。本研究は、学術論文の執筆を終え、国際著名誌に投稿中である。2つ目の研究のメカノフォアの開発においても目標としたような性質を得ることが出来、コンセプトの実証ができた。以上のように2年間で計画していた内容の大部分をすでに達成しており、当初の計画以上に進展していると自己点検により評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1つ目の研究については、多核ホウ素錯体の構造多様性を拡張することにより、現時点で達成できていない赤色や近赤外領域にて強発光かつ円偏光発光特性を示す材料の取得を目指す。また他のアウトプットとして、電気化学発光材料等への応用を検討する。また2つ目の研究においては、引張応力に対して6nmの発光波長シフトであったこれまでの研究から、少なくとも10nm以上の発光波長シフトを目標として研究を実施する。具体的には、用いたポリウレタンエラストマーの種類を変更することや、アクリルゴム、シリコンゴム等への導入を検討する。同時に計算化学を用いて、発光色変化が旗蝶番型色素のコンホメーション変化に由来することを明らかとする。
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Research Products
(6 results)