2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物磁性体ヘテロ界面での量子物性の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Nano Materials Science for Atomic Scale Modification |
Project/Area Number |
22015011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 晃司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50314240)
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Keywords | ペロブスカイト酸化物 / エピタキシャル薄膜 / 磁性 / 化学ドーピング / 第一原理計算 |
Research Abstract |
チタン酸ユウロピウム(EuTiO_3)は磁性と誘電性が共存する系としてマルチフェロイック材料への展開が期待されている化合物の一つである。安定相のEuTiO_3は室温で立方晶ペロブスカイト型構造をとり,誘電体としては量子常誘電性を示し,磁性体としては約5Kにネール温度をもつG型反強磁性体として振舞う。この化合物を強誘電体かつ強磁性体に変換する方法として,異種元素によるAサイト置換(すなわち,点欠陥の導入),および界面(すなわち,面欠陥)の形成に基づく歪みの導入が試みられている。 平成23年度は,従来のAサイト置換とは異なり,Bサイト置換が磁性に及ぼす影響を調べた。具体的には,LaAlO_3あるいは(LaAlO_3)_<0.3>-(SrAl_<0.5>Ta_<0.5>O_3)_<0.7>基板上にEu(Ti,Nb)O_3薄膜を堆積して,構造と磁性を調べた。TiサイトをNbで置換することにより強磁性が現れ,たとえばEuTi_<0.8>Nb_<0.2>O_3組成の薄膜ではキュリー温度が9.2Kと見積もられた。Ti^<4+>サイトのNb^<5+>による置換で注入される伝導電子がEu^<2+>に局在したスピンの強磁性的な相関を担うと推測された。 関連した成果として,第一原理計算を用いてEuTiO_3の電子構造と磁性の関係を調べた結果,Ti 3d状態を介した反強磁性的超交換相互作用が,Eu 4fスピンの反強磁性的秩序ならびにスピン-格子相互作用に対して大きな役割を担っていることが明らかになった。特に,格子体積が減少するにつれてEu 4fとTi 3d状態間の相互作用が顕著になり,Eu4fスピン間にTi3d状態を介した反強磁性的超交換相互作用が働いていることが示唆された。これにより,EuTiO_3ヘテロ界面における格子歪による強磁性の安定化の微視的起源が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EuTiO_3の薄膜の成膜条件の最適条件を見つけるのに予想以上の時間がかかり、当初目標にしていた物性評価をまだ十分に行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
高品質のEuTiO_3エピタキシャル薄膜を再現よく作製できるようになったため,ヘテロ界面での特異物性を探索する。
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[Journal Article] Crystal and Electronic Structure and Magnetic Properties of Divalent Europium Perovskite Oxides EuMO_3 (M=Ti, Zr, and Hf) : Experimental and First-Principles Approaches2012
Author(s)
H.Akamatsu, K.Fujita, H.Hayashi, T.Kawamoto, Y.Kumagai, Y.Zong, K.Iwata, F.Oba, I.Tanaka, K.Tanaka
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Journal Title
Inorganic Chemistry
Volume: (印刷中)
DOI
Peer Reviewed
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