2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化による新たな自己応答性制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021047
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石戸 聡 独立行政法人理化学研究所, 感染免疫応答研究チーム, チームリーダー (10273781)
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Keywords | MHC class II / ユビキチン化 / 抗原提示 / ユビキチンリガーゼ / 樹状細胞 |
Research Abstract |
非感染状態において、MHC class II(MHC II)はMARCH-Iによってユビキチン化されているが、感染による活性化刺激によってMHC IIのユビキチン化が抑制される。このMHC IIのユビキチン化抑制はE3ユビキチンリガーゼであるMARCH-Iの発現抑制によると考えられている。MHC IIのユビキチン化の抑制によって抗原ペプチドを提示しているMHC IIの細胞表面における発現が亢進する事が示されている。これらの事から、感染刺激によってMARCH-Iの発現が抑制され、抗原を提示するMHC IIの発現が上昇する事により、病原体に対する免疫が効率よく誘導されるのではないかと考えられた。この仮説の検証を、in vitroにて作成した樹状細胞にて行っている。刺激によってMHC IIのユビキチン化が消失する事を再現する為に、二つのマウスシステムを作成した。ひとつはMARCH-Iがタモキシフェン(OHT)によって欠損するマウス、もうひとつは、OHTによってユビキチン化されないMHC IIが発現するマウスである。これらのマウスの骨髄から樹状細胞を作製し、抗原提示機能、T細胞活性化機能を検討した。両者のモデルにて、MHC IIのユビキチン化抑制によって抗原を提示しているMHC IIの細胞表面における発現の亢進を認めた。さらに、T細胞ハイブリドーマを用いて抗原提示機能を検討した結果、MHC IIのユビキチン化抑制はT細胞ハイブリドーマを強く活性化しなかった。さらに、両者のモデルにおいて、CD4 T細胞の分化を検討したところ、Th1、Th17、Th2への分化誘導が、MHC IIユビキチン化の抑制によって顕著に抑制された。これらの事から、MHC IIのユビキチン化抑制によるMHC II発現の亢進は免疫を誘導するのではなく、むしろ、免疫誘導を抑制する事が示唆された。現在、この分子機構に迫っている。
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Research Products
(7 results)