2011 Fiscal Year Annual Research Report
電気的スイッチにより制御されたπ共役系分子の集積的構築法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106533
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
光藤 耕一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (40379714)
|
Keywords | 電気的スイッチング / 集積化 / 拡張π電子系分子 / ホモカップリング / クロスカップリング / 連続反応 / タンデム反応 |
Research Abstract |
前年度に電気的スイッチングに基づいた集積的連続反応を進行させることには成功していたが、目的物の収率は不十分であった。本年度は3種類に反応パターンについて更に種々の条件検討を行った。すなわち、(i)アルキンの電気化学的なホモカップリングによるジイン合成(スイッチオン)を行ったのちに鈴木-宮浦反応によるテトラアリールブタジインへの変換(スイッチオフ)する反応と(ii)アリールボロン酸の酸化的ホモカップリングによるジイン合成(スイッチオン)の後に鈴木-*宮浦反応を行いテトラアレーンを合成するパターン、そして(iii)鈴木-宮浦反応(スイッチオフ)を行った後にアリールボロン酸との電気化学的なクロスカップリング反応(スイッチオン)を行う反応パターンの三種である。前者二者は(スイッチオン)→(スイッチオフ)の反応パターンであり、三つ目は(スイッチオフ)→(スイッチオン)の反応パターンである。なかでも前者二種類の反応パターンに関しては集積化プロセスが効率的に進行する系を確立することに成功し、目的とする拡張π電子系分子を基質一般性良く得ている。三つ目の反応パターンも中程度の収率ではあるものの反応自体は進行し、目的物を得ることに成功している。三つ目の反応パターンの収率低下の原因について精査したところ、本連続反応のそれぞれのステップのみを行うと高収率で目的物が得られることと、二段階目の反応にホウ酸を添加すると著しく反応性が低下することから、鈴木-宮浦反応の際に発生するホウ酸塩が続く電気化学的クロスカップリング反応を阻害しているらしいことが示唆された。ホウ酸塩を除去するかあるいはホウ酸塩の影響を受けない反応系の設計が今後の課題となる。 今回合成したπ拡張ジインの一部はX線結晶構造解析にも成功しており、置換基によって結晶構造が大きく異なることも分かった。また、得られたジインの更なる分子変換も行った。
|