2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物の糖転流経路における二次原形質連絡形成のメカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
22114503
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
西田 生郎 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40189288)
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Keywords | 高CO2濃度 / 糖転流 / 二次原形質連絡 / 光合成生産 / シンプラスト |
Research Abstract |
シロイヌナズナの変異株restricted sucrose export1(rsx1)は、ソース葉の葉脈篩部の二次原形質連絡(2°PD)形成が不全となり、糖転流が部分的に阻害される変異株である。RSX1は細胞壁中間層のペクチン酸層を分解して2°PD形成を促進すると考えられる。本研究では、RSX1の原形質連絡局在を、RSX1-EYFPに対する間接蛍光抗体法、アニリンブルーによる原形質連絡カロースとEYFPの共局在、および金コロイド免疫抗体法により証明した。また、高CO_2環境下(780ppm)でのRSX1発現量の増加を、RT-PCR法およびプロモータGUS活性測定から明らかにし、アニリンブルー染色により間接的に高CO_2環境下でのPD形成の強化を明らかにした。さらに、野生株種子は、糖を含まないMGRL培地で発芽できるがその後成長できず、高CO_2環境下(780ppm)でのみ発達できるのに対し、rsx1-2変異株は、通常CO_2環境下でも発芽・成長が可能であるという違いを明らかにした。以上の結果は、RSX1が2°PDの形成、糖転流経路の構築、および高CO_2環境応答に重要な役割を担っていることを示唆している。シロイヌナズナの糖転流経路にはまだ不明な点が多く、今後は、RSX1発現の組織特異性と糖転流能および原形質連絡形成との関係や、RSX1発現部位と篩部積み込み経路におけるシンプラスト経路構築の関係など、未解決の問題として残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RSX1の原形質連絡局在を証明できた意義は大きい。また、高CO2環境で野生型とRSX1種子で,生育に違いが出ることを新たに見いだしている。しかし、RSX1発現によりあらたな原形質連絡形成を誘導できるのかについては検討が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RSX1発現強化により、新たな篩部積み込み経路を構築できるのか、高CO_2環境下の糖蓄積による負のフィードバックを回避することができるのかについて検証する。
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Research Products
(2 results)