2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚における前後軸の起源とその決定機構
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116508
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高岡 勝吉 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教 (90551044)
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Keywords | 前後軸 / 遺伝子発現 / イメージング / 着床 / 再生医療 |
Research Abstract |
マウス胚の前後軸は受精後(E)5.5日胚の胎盤に対して遠位側にDVE(Distal Visceral Endoderm、遠位臓側内胚葉)という様々な遺伝子が発現する特殊な細胞群が現れる。その後、DVE細胞が前側へ移動し、AVE(Anterior visceral Endoderm,前側臓側内胚葉)と名前が変わり、このAVE細胞から胚体部分(将来体になる部分)へ後方抑制シグナルを出すことで、胚体部分の前後極性を作り出すと長年考えられてきた。しかし、私達は細胞の挙動に注目して解析した結果、従来の前後軸形成モデルを覆し、新たな前後軸形成モデルを提唱するに至った。 まず、CreER^<T2>を用いた細胞標識技術を開発し、各ステージのLeftyl陽性細胞を標識/追跡した結果、(1)DVEの形成開始はE4.0のLeftyl陽性細胞まで遡ることができ、(2)DVEとAVEは異なる細胞系譜であることが明らかになった。さらに詳細な細胞の挙動を可視化するために、蛍光タンパクを用いた経時的イメージング技術を開発した。この技術により、5日胚から6日胚にかけて、VE(Visceral Endoderm)全体が時計回り(胚の左側から見た場合)に動いており、DVE/AVE発現遺伝子の特徴的な発現パターンは、時計回りの細胞の動きと遺伝子の発現制御の二つの働きによることが明らかになった。 では、DVEはどのような役割を果たすのだろうか?この疑問を解決するために、DVEを除去する実験を行った。すると、DVEを除去した胚では、新たにAVEの誘導は起こるが移動しなかった。つまり、DVEは、頭部誘導を引き起こすAVE細胞を、前方へガイドする重要な役割を果たす細胞であることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)