2023 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary basis for group-mindedness and culture in single- and multi-level societies
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
22H04451
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 真也 京都大学, 高等研究院, 准教授 (40585767)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 道具使用 / 社会学習 / 行動同調 / 集団行動 / 集団性 / 内集団・外集団 / チンパンジー・ボノボ / 比較認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はおもに以下の研究をおこなった。 ①「複雑な道具使用」の社会学習:野生のチンパンジーは複数の道具を順に用いてひとつの目標を達成することが知られている。このような複雑な道具セット使用をチンパンジーが社会学習によって獲得できるのかを、2段階パズルボックスを独自に作成し、飼育下のチンパンジーを対象に検証した。さらに、チンパンジー・ボノボを対象に、アイトラッカーを用いて社会学習時の注視行動を厳密に測定する実験をおこなった。本研究では、観察個体自身の道具使用技法とモデルの技法が同じとき・異なるときで注意状態が異なるか、チンパンジー・ボノボでの種間比較、などを中心に分析をおこなっている。 ②個体間の行動同調:チンパンジーの排尿行動に注目し、個体間で行動が同期・同調するかを調べた。ランダムに排尿が起こると仮定したシミュレーション結果と得られた観察データを比較することにより、排尿がランダムで起こるのではなく、個体間で同期することを明らかにした。さらに、この同期が近い個体間で起こることを突き止め、単なる偶然ではなく、近い個体間で伝染している可能性が示唆された。また、この伝染の方向には社会的地位の影響も示唆されている。 ③集団性の比較認知科学:オキシトシンの経鼻投与・アイトラッカーを用いた認知実験・音声プレイバック実験による集団行動の観察等、さまざまな手法を持ちいて集団性の進化について実証的研究をおこなった。対象種はチンパンジー・ボノボを中心に、ウマやネコと多岐にわたる。私たちの先行研究から、未知個体(外集団)の音声が集団の結束を高める効果があることがチンパンジーで知られていたが、同様のことがボノボでもみられることがわかった。チンパンジーとボノボでは集団性が大きく異なると考えられているが、共通基盤についても示唆する結果である。 以上、今後の研究の発展につながる成果が多数得られた。
|
Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(24 results)