2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of nuclear quadrupole resonance under voltage application
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
22H04618
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 泰斗 京都大学, 理学研究科, 助教 (00631384)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NQR / 静電ポテンシャル / 電圧印加 / 非破壊 / 非接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学ポテンシャルと、化学ポテンシャルに静電ポテンシャルの和で表される電気化学ポテンシャルは、電解質の安定性や界面保護膜の形成・成長、空間電荷層・イオン空乏層の形成、電解質内のイオン輸送に関わっている。しかし、固体電解質中のイオンが感じるポテンシャルを直接かつ非接触に測定する方法は存在しないと言って良い。本研究では、核四重極共鳴(NQR)という核位置の電場勾配を反映したスペクトルを非破壊かつ非接触に得ることができる分光学的手法を用いて、固体電解質内部の静電ポテンシャル分布を評価する手法を開発を目指す。 そのために必要な電圧を印加しながらNQRを測定できるプローブを開発する。本年度は試作機を制作し問題点を洗い出した。信号位置の温度依存性が高いことがわかった。そこで電圧印加に加えて温度を制御できる機構を導入した。さらに測定シーケンスを改良することで信号の温度依存性を極力小さくなるように工夫した。 並行して本番の測定試料を選定した。試料の条件としては、電池が組める固体電解質であること、単結晶が手に入ること、四極子核を含んでいること、その核の占めるサイトの中心対称性が破れていること、が挙げられる。これらの条件を満たすものとしてリチウムイオン固体電解質であるLi7La3Zr2O12を選んだ。さらに本番用プローブ製作に必要な四極子相互作用パラメータの決定を試みた。139Laサイトは2つあり、DFT計算では四極子結合定数と軸対称性パラメータが30.3 MHzと0.32、29.15 MHzと0.11と計算され、プローブの設計ができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、プローブの試作機を制作し問題点を洗い出すことができた。また試料の選定をDFT計算による共鳴周波数の推定もできた。
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Strategy for Future Research Activity |
DFT計算により共鳴周波数の推定したが、この周波数なら139La NMRにより実験的に決定できる。そのため、まずNMR実験により四極子パラメータを正確に求める。求めた値をもとに電圧印加可能なNQRプローブを設計・制作する。また単結晶Li7La3Zr2O12の作製を共同研究者に依頼する。作製された単結晶を薄片化して電極を取り付け電圧を印加して139La NQR測定を実施する。得られたデータを解析して固体電解質内部の静電ポテンシャル分布を評価する。
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