2022 Fiscal Year Annual Research Report
Nondestructive measurement and mechanism of protein microcrystals by femtosecond transient absorption microscopy
Publicly Offered Research
Project Area | Non-equilibrium-state molecular movies and their applications |
Project/Area Number |
22H04755
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
片山 哲郎 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 助教 (80592360)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超高速分光 / 顕微過渡吸収分光 / 生体試料 / 単一結晶 / 励起エネルギー移動反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はフィコシアニンたんぱく質結晶のエネルギー移動反応ダイナミクスについて既存のフェムト秒顕微過渡吸収計測装置を用いて計測し、そのエネルギー移動反応ダイナミクスを観測した。フィコシアニンたんぱく質内には同種の色素が一つのモノマーユニット中に三つ存在しており、それらの色素の吸収極大波長は結合位置によって若干異なる。得られた時間分解電子スペクトル(過渡吸収スペクトル)をグローバル解析することにより、三つの色素間の異なる電子状態間の緩和過程についての時定数を得た。また過渡吸収計測で観測された長寿命成分を理解するために、新たにポッケルスセル、および本研究予算で単一光子検出器を光学系に導入し、時間相関単一光子係数法による発光寿命計測を行えるように、装置を構築した。また本研究予算で浜松ホトニクス社の高感度sCMOSカメラの取り込みボードを購入し、顕微鏡下の小さな結晶から放出される微弱な発光スペクトルも観測できるように装置を拡張した。拡張した計測装置で発光寿命を計測することで、過渡吸収計測の観測時間領域よりも広い時間範囲での発光ダイナミクスが計測され、長寿命の電子状態についても議論が可能となり、特定の色素に捕捉されて長寿命化した励起状態の発光時定数を決定した。これらの研究結果から、モノマーユニット間のエネルギー移動、ダイマーユニット間でのエネルギー移動の時定数を決定した。 これらの研究成果は国内会議、国際会議においてそれぞれ報告し、初期のダイナミクスに関する内容はJJAP誌に報文した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目は計測手法開発とともに、基礎的な時間分解分光計測を行った。計測すべき観測波長域、時間領域についての基礎的な情報が得られ、また単一結晶におけるフィコシアニンたんぱく質内の色素間励起エネルギー移動過程の全体像に対する理解が進み、報文に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は生態系で重要なディスク上タンパク質のディスク軸に沿ったエネルギー移動反応時定数の決定と、その速度因子について開発中の偏光解消計測とともに行う予定である。また他のたんぱく質内の色素のエネルギー移動、電子移動、光異性化反応、プロトン移動反応について計測を行い、これらの詳細について計測を行っていく。
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Research Products
(36 results)