2022 Fiscal Year Annual Research Report
ベイズ深層学習による細胞ダイナミクスの新次元俯瞰
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
22H04839
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島村 徹平 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00623943)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 深層生成モデル / ベイズモデリング / 一細胞オミクス / 空間トランスクリプトーム / 細胞ダイナミクス / 細胞間コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題では、ベイズ推論と深層学習を機軸として、多細胞が生み出す生命現象の理解を深め、生命システムの設計原理を俯瞰するための新たな解析技術を開発する。具体的には、下記の解析技術を開発する。これら解析技術の有用性を、ヒト臨床サンプルおよび疾患モデル動物を用いた実験系、あるいは本領域の計画班・公募班が使用する実験系で検証する。2022年度は以下のような進展があった。1)ゆらぎを考慮した細胞動態シミュレーションのための深層生成モデルの開発:深層生成モデルと数理モデルの融合により、シングルセルトランスクリプトームデータから細胞状態遷移のゆらぎをシミュレートし、確率的な遺伝子発現変化や細胞運命分岐点を探索するための深層生成モデル VICDYF を開発した。2)共局在細胞を同定するための深層生成モデルの開発:一細胞解像度で細胞間の共局在ネットワークを推定するとともに、共局在関係によって定義される細胞集団の分類、関連するリガンドとレセプター間の分子パスウェイを同定するための深層生成モデル deepCOLORを開発した。3)多細胞が作り出す組織構造変化を抽出するベイズ機械学習の開発:組織透明化手法 CUBIC を用いて、マウスのさまざまな臓器を透明化し、血管・リンパ管を臓器のまま3次元かつ高解像度に可視化した画像データから、位相的データ解析や非定常ポアソン過程モデルなどの機械学習技術により、3次元の脈管構造の『かたち』を総合的に評価するための方法を開発した。4)多分子が作り出すタンパク構造変化を抽出するベイズ機械学習の開発:分子動力学シミュレーション、パーシステントホモロジー法、およびベイズ統計モデルを用いて、アミノ酸変異によって引き起こされるタンパク質構造変化の多様性を解析するための方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤となるモデリング技術を開発し、シミュレーションデータおよび実データでその有用性を検証できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の基盤となるモデリング技術開発を引き続き進めるとともに、多細胞が生み出す生命現象の理解を深め、生命システムの設計原理を俯瞰するための新たな解析基盤を構築する。
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