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2022 Fiscal Year Annual Research Report

環境DNAと安定同位体を融合した流域圏生態系の健全性評価指標の開発

Publicly Offered Research

Project AreaIntegrated Sciences for Sustainable Human-Aqua Environment
Project/Area Number 22H05236
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

宮園 誠二  山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授(特命) (00898257)

Project Period (FY) 2022-06-16 – 2024-03-31
Keywords環境DNA / 安定同位体 / 河川生物 / 河川生態 / 環境評価
Outline of Annual Research Achievements

本研究では, 2022年10月12~14日に高津川(合計27地点),2022年10月18~21日に高梁川(合計27地点)において流域網羅的に環境DNA分析のための採水および安定同位体サンプル(河床堆積物,付着性藻類,水生昆虫のヒゲナガカワトビケラ,魚類のカワムツ)の採集を行った.環境DNAの採水試料は,研究室に持ち帰り,ろ過・抽出・環境DNA定量メタバーコーディングを行うことで,各魚類の環境DNA濃度を算出した.各安定同位体サンプルについては,窒素安定同位体比(δ15N)および炭素安定同位体比(δ13C)を定量した.データ解析として,各魚類の環境DNA濃度を基に,多変量解析を用いて水系間の魚類群集構造の違いを解析した.続いて,各水系を代表する魚種を特定するために指標種分析を用いた.これらの解析の結果から,魚類群集構造が水系間で顕著に異なることや各水系を特徴づける魚種が複数存在することが明らかとなった.さらに,各地点の魚類環境DNA濃度を基に,魚種数及びSimpson多様度指数を用いて各地点のα多様性を推定した.この解析により,各水系内の魚類ホットスポット(α多様性が高い地点)を特定するとともに,水系間の魚類多様性の違いを検討した.結果として,種数については高梁川の方が高津川よりも顕著に高かったが,多様度指数については,両水系で違いはみられなかった.続いて,各種窒素安定同位体比の水系内の空間分布を検討し,どの調査地点で流域からの負荷が相対的に高いか推定した.さらに,各地点の窒素安定同位体比と土地利用(森林割合・農業用地割合)との関係を相関解析により検討した.結果として,両水系ともに付着性藻類,ヒゲナガカワトビケラ,カワムツの窒素安定同位体比と農業用地割合との間に顕著な正の相関がみられ,特定の栄養段階の窒素安定同位体比が流域からの負荷を反映している可能性が明らかとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

2022年の秋季に予定していた現地調査(環境DNAサンプルおよび安定同位体サンプルの収集),及び室内における環境DNA分析(水試料のろ過,DNAの抽出,環境DNA定量メタバーコーディング)を終了し,各魚類の環境DNA濃度を算出した.安定同位体サンプルについては,外注し各試料の窒素安定同位体比および炭素安定同位体比を入手した.これらのデータを基に,様々な統計解析により調査地の魚類多様性の特性や各種同位体比と土地利用との関係を明らかにした.以上のことから,当初の計画通りに対象水系における現地調査,室内でのサンプルの分析,およびデータ解析を終了した.さらに, 2023年の8月以降に行う予定であった環境DNA分析による魚類多様性と窒素安定同位体比との関係の解析および河川生態系の健全性指標の作成についてもすでに着手しているため,本研究は当初の計画以上に進んでいるといえる.

Strategy for Future Research Activity

令和5年度は,令和4年度の秋季(10月)に行った現地調査(環境DNA採水および各種安定同位体サンプル収集)を梅雨の出水前の6月に行い,本研究で開発する河川健全性評価指標が季節を通して有効か検討する.また,統計解析(一般化線形モデル等)を用いて各種安定同位体比(δ15N・δ13C)と土地利用以外の環境要因(水温,地点間の連続性の違いなど)との関係をより詳細に解析する.さらに,各地点のα多様性と前述の環境要因との関係について一般化線形モデル等を用いて解析し,地点間の群集構造の違いであるβ多様性と環境要因との関係を多変量解析(Mantel検定等)により検討する.続いて,環境DNAと安定同位体の評価指標を基に各地点のスコア付けを行い,このスコアを河川生態系の健全性指標(Index of River Ecosystem Integrity, IREI)とする(スコアが高いほど河川生態系の健全性が高い).最後に,IREIスコアと様々な環境要因との関係をモデル化し,水温,土地利用,河川ネットワークの連結性の様々な変化シナリオを基に将来(10~100年後)の各地点の健全性変化を推定し,結果をGIS上で視覚化する.このとき,調査地点間の河川横断構造物の数等を増減することで連結性を変化させる.将来の河川水温は,気候予測データベースのd4PDF等を用いた将来予測気温から得られる対象調査地点の将来予測結果に基づいて推定する.

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Published: 2023-12-25  

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