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2022 Fiscal Year Annual Research Report

競合的コミュニケーションと細胞集団-細胞間相互作用の協調システムの解明

Publicly Offered Research

Project AreaUnderstanding multicellular autonomy by competitive cell-cell communications
Project/Area Number 22H05619
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

西川 星也  東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (90822255)

Project Period (FY) 2022-06-16 – 2024-03-31
Keywords細胞競合 / 数理モデル / 連続体モデル
Outline of Annual Research Achievements

2022年度にはまず、細胞増殖や細胞死が存在しない条件下では細胞数が保存し、細胞集団の境界における複雑な形状を取ることが可能な連続体モデルを構築した。この数理モデルはCahn-Hilliard方程式をベースにしている。Cahn-Hilliard方程式は空間的に異なる2相に別れる状態を記述できる偏微分方程式モデルであり、層の濃度が保存するという特徴を持っている。そのため、増殖や細胞死が存在しない状況における細胞集団の挙動を記述することに向いている。しかし、境界の形状の発展を記述する項に表面張力の影響が含まれてしまっており、滑らかかつ円形の形状を取ってしまう。一方、細胞競合においてはwinner細胞とloser細胞の組み合わせによって境界の形状が異なり、細胞死は集団の境界で発生することから、細胞集団の境界の形状は組織の運命に影響している可能性がある。そこで、本研究ではCahn-Hilliard方程式の濃度を保存するという特徴を残したまま、境界における表面張力の強さをコントロールできる形へと改良を行なった。その結果、細胞競合で観察されるような多彩なクローン集団の形状を表現することができた。この数理モデルは細胞種の密度を表す位相場のみの変数で構成されており、非常に単純でありながら細胞競合のみならずガンをはじめとした異なる細胞集団が組織内に存在する系の解析に寄与し得る。一方で、このモデルに細胞増殖や細胞死を導入した結果、それらの効果によって境界の形状が徐々に滑らかになっていってしまうことが明らかになった。したがって、複雑な形状のままクローンが発展するためには、ローカルな細胞の形状や細胞死・増殖の局在が必要であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2022年度は当初の計画通り、境界の形のみを記述可能な数理モデルの構築に着手した。その結果、研究実績の概要で述べたように、数理モデルの構築は成功した。しかし、予想していたよりもローカルな細胞の形状や細胞死・増殖といったものの影響が境界の形状の時間発展に大きく効いており、境界の形状のみの数理モデルで実験データを解析することは難しかった。このため、「やや遅れている」としたが、上記の変数を導入する重要性が確認できたことから収穫はあった。

Strategy for Future Research Activity

昨年度までに、細胞増殖や細胞死が存在しない条件下では細胞数が保存し、細胞集団の境界における複雑な形状を取ることが可能な連続体モデルを構築した。この数理モデルは細胞競合の実験系ごとに観察されるクローン集団の境界形状を再現することができたが、一方で、時間発展とともに形状の複雑性が失われることが明らかになった。以上より、細胞集団の境界という自由度だけでは細胞競合現象を解析するための数理モデルでは不十分であることが分かったため、今年度は細胞集団の形と局所的な細胞の形の双方を記述する数理モデルを構築する。まずは、細胞増殖・細胞死が存在しない条件で2種の細胞集団が同一空間に存在する連続体モデルを力学的に厳密な形で構築する。この数理モデルにより、2種類の細胞集団が存在する場合、細胞の性質の差によってどのような境界形状が形成されるのかを明らかにする。次に、構築したモデルに細胞増殖と細胞死を導入することで、細胞競合における力学的な普遍的性質を明らかにする。この性質を用いて、数理モデルと各実験系を比較することで各系の定量化を行う。実験系との比較のためには構築した数理モデルにおいて境界の形や細胞の形と、実験で得られた画像における各指標を比較する必要がある。そこで、すでに論文化されている実験系の画像をメタアナリシスを行う。これにより、画像データのみから細胞競合の系における各細胞の性質を見積もる手法を確立する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Wasserstein距離を用いた細胞集団の運動・変形解析PIVの構築2023

    • Author(s)
      西川星也
    • Organizer
      第10回細胞競合コロキウム
  • [Presentation] 細胞競合の統合的理解に向けた異種細胞間の境界形状を記述する数理モデル2022

    • Author(s)
      西川星也、石原秀至
    • Organizer
      多細胞生命自律性第2回領域会議

URL: 

Published: 2023-12-25  

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