2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジピリン誘導体の連結反応による新規ポルフィリノイドの合成とその物性探求
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
23108705
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50281100)
|
Keywords | ポルフィリン / 芳香族性 / 反芳香族化合物 / π共役 / パラジウム / アザポルフィリン / コロール / アミネーション |
Research Abstract |
ポルフィリノイドの骨格構築を遷移金属触媒反応で行った例はほとんどない。本研究ではジピリン誘導体をビルディングブロックとして活用し、遷移金属触媒反応により新規ポルフィリン類縁体を効率的に合成する手法を開発することを目的として研究した。ジクロロジピリン金属錯体を基質としてパラジウム触媒によるベンジルアミンとのBuchwald-Hartwigアミネーション(C-N coupling)を行ったところ、コロールの一つのメゾ位に窒素原子が導入されたアザコロールが比較的収率よく得られることを見いだした。予期したジアザポルフィリンも生成したが収率は高くなかった。得られたアザコロールおよびジアザポルフィリンのX線構造解析に成功し、それらの高い平面性を明らかにした。また、MR測定および分子軌道計算からアザコロールおよびジアザポルフィリンの明確な芳香族性を明らかにした。さらに、アザコロールのアシル化が高い位置選択性で進行し、反応条件により反応位置を制御できることを見いだした。一方、ジピリン金属錯体と硫化ナトリウム九水和物と反応させたところ、Ni錯体からはチアコロール、Zn錯体からはジチアポルフィリンを得ることに成功した。単結晶X線構造解析により、チアコロールは高い平面性をもつことを明らかにした。またチアコロールはNMR測定およびNICS計算より、芳香属性を有することが分かった。一方、ジチアポルフィリンは硫黄原素を中心に曲がった構造をとっていることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成23年度には、ジブロモジピリンを出発物質としてアザポルフィリンを合成し、その物性を研究することとしていた。しかし、アザポルフィリンの構造・物性を解明し、計画を達成しただけでなく、ジピリン誘導体からチアコロールやジチアポルフィリンが合成できることを発見しすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に、ジチアポルフィリンからチアコロールへの脱硫反応という非常に興味深い変換反応を見出すことができたので、この反応についてさらに詳しく研究していく。同時にジピリン誘導体を用いて、硫黄以外のヘテロ元素をもつ新規ポルフィリンやコロール誘導体を合成し、その構造や物性について研究する予定にしている。
|
Research Products
(21 results)