2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスRNAと宿主RNAによって調節される細胞機能制御のメカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
23112701
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高岡 晃教 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30323611)
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Keywords | RNA / 生体防御 / ウイルス感染 / インターフェロン / 自然免疫 |
Research Abstract |
ウイルスRNA(1)および宿主RNA(2)の両側面からのアプローチによって,これらのRNAが規定する生体防御機構の新しい分子メカニズムについて明らかにすることを計画した.1つ目については,昨年,独自に同定したRNAセンサーRIG-Iの新規調節因子ZAPSの,p72 DEAD box RNAヘリカーゼとの結合性についてRIG-Iヘリカーゼと比較して検討行った結果,RIG-Iとの結合性はRNA依存的に増強するのに対して,p72との結合性はRNA刺激がない条件下においても結合をみとめ,刺激による結合性の増強はなかった.次に,ZAPSのdeletion mutantを用いて,p72の結合部位について検討したところ,ZAPSのzincfinger領域を含むN末端側と結合することが明らかになった.現在p72側の結合部位についても検討を行っている.またp72の細胞内局在についても検討を行い,p72は主に核に局在することを見出した.さらにp72がRIG-I経路に与える影響についてsiRNAを用いた検討をHEK293T細胞において行ったところ,インフルエンザウイルスのゲノムRNAによって誘導されるIFN-βの誘導が,p72のsiRNAによって抑制されたことから,p72はRIG-I経路に対して負に作用していることが示唆された.今後,ウイルス感染における,このp72の役割について追究する予定である.2つ目については,宿主RNAを介する恒常的な生体防御機構を明らかにすべく検討した結果,RIG-IおよびZAPSの関連性を示唆する結果が得られた.現在,このRIG-I-ZAPSシグナルを活性化する内因性RNAを同定し,RNAによる新しい制御についてさらに詳細を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の(1)「ウイルスRNA」の分解とその認識による免疫賦活を介する生体防御機構の解析および(2)「宿主RNA」を介する恒常的な生体防御機構の証明という両方に視点を当てたアプローチによって,これらのRNAが規定する生体防御機構の分子メカニズムについて解明することを計画しているが,どちらの項目における予定していた実験もほぼ計画通り進んでいると判断したため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,インフルエンザウイルス由来のRNAによるRIG-I活性化機構がRIG-Hのリガンドとして一般的に用いられる5'末端に三リン酸構造を有する合成RNA(3pRNA)とは異なっていることを見出しつつあり,ZAPSのp72ヘリカーゼ依存性の役割の解明過程において,この関連性についてもさらに検討を加える予定である.その他は,これまでの研究計画に変更や問題点は現時点において無く,予定通り次年度遂行することを考えている.
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