2011 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線レーザー照射によるシロイヌナズナ単一細胞における遺伝子発現誘導系の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
23120527
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
浦和 博子 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70213519)
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Keywords | 植物 / 環境応答 / 赤外線 / バイオテクノロジー / 光スイッチ / 熱ショック |
Research Abstract |
植物体の局所に、目的とする遺伝子の発現を誘導する方法は既にいくつか報告されているが、それらの方法では、遺伝子発現は組織レベルに留まり細胞レベルで発現を誘導することは難しい。刺激応答の細胞レベルでの解析や細胞間シグナル伝達の解析には、細胞レベルでの遺伝子発現誘導が不可欠である。本研究の目的は、IR-LEGO(Infrared laser evoked gene operator)を用いて、赤外線を植物体に照射し、加熱により熱ショック応答を誘導し、目的の遺伝子を細胞レベルで発現させる系を確立することである。 赤外線は培地中の水分子により吸収される。このため、照射量を一定にするためには、照射部位のサンプルの深さを一定にすることが必須であると考えられた。また、照射後の経時的な追跡観察を行うためにも、深度が一定のシロイヌナズナ実生を生育させる必要があった。H.23年度においては、シロイヌナズナ実生の生育、照射方法を検討し、照射条件を決定した。 また、このシステムを用いた遺伝子発現誘導により「植物細胞場」を解析するには恒常的な遺伝子発現誘導系を確立する必要があると考えられた。そこで、Cre/loxPシステムを用いたGatewayシステムのディスティネーションベクターを作製した。このベクターは目的遺伝子のPCR断片さえ準備すれば、Gatewayシステムを利用し、容易にloxP配列の下流に蛍光タンパク質との融合タンパク質として目的遺伝子を作出できるように設計している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シロイヌナズナ根において、IR-LEGOによる、単一細胞での遺伝子発現誘導が可能な照射量を検討した。 赤外線は培地中の水分子により吸収されるため、照射量を決定するためには、照射部位のサンプルの深さを一定にすることが必須であった。また、照射後の経時的な追跡観察を行うためにも、深度が一定のシロイヌナズナ実生を生育させる必要があった。寒天培地の量、寒天の濃度、培養時の光の方向などを検討し、ガラスボトムディッシュ上で、照射部位の深さが一定となるシロイヌナズナ実生の培養条件を検討し、その後、最適な照射条件を決定した。 このシステムを用いた遺伝子発現誘導により「植物細胞場」を解析するには、恒常的な遺伝子発現誘導系を確立する必要があると考えられた。そこで、Cre/loxPシステムを用いた恒常的遺伝子発現誘導系を確立した。 加えて、この系を汎用性のあるものとするため、Gatewayシステムのディスティネーションベクターを作製した。このベクターは、目的遺伝子のPCR断片さえ準備すれば、Gatewayシステムを利用し、容易にloxP配列の下流に蛍光タンパク質との融合タンパク質として、目的遺伝子を作出できるように設計した。既に、複数の班員がこのベクタ―を利用している。
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Strategy for Future Research Activity |
「植物細胞場」の解析を行うためには、他の組織においても、IR-LEGOによる遺伝子発現誘導を可能としなければならない。シロイヌナズナ根以外の組織における照射法を検討する。 班員からの要望のある子葉、茎頂分裂組織における照射法を検討する予定である。 当該年度において、これらの組織への照射も試みたところ、次のような問題点が明らかとなってきた。 子葉に存在する細胞間隙が照射による遺伝子発現頻度に影響すると考えられた。照射法、培養法を変え、子葉での効率のよい遺伝子発現誘導法を検討する。 茎頂分裂組織はマウントの影響により生長に抑制がかかることが解った。そのため、IR-LEGO専用としてきたレンズを用いた照射には適さない。今後は、ノンカバーレンズ等による照射法を検討する。 、
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Research Products
(6 results)