2011 Fiscal Year Annual Research Report
拍動循環培養システムを用いた心チューブの構築と機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136516
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
南沢 享 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40257332)
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Keywords | 階層構造 / 心筋細胞 / 心臓発生 / 心機能 / 高分子シート / 弾性線維 / 機械的刺激 |
Research Abstract |
心臓機能は、心筋細胞を含む10種類の心臓構成細胞が高度の協調性を保つことによって維持されている。心臓機能異常を理解するためには複合的な階層構造体としで心臓構成細胞の協調性の破綻を捉えることが重要である。本研究では、複合的機能と階層構造を有する心臓組織の三次元再構築系を創成し、機械的刺激が心臓構成細胞の機能に及ぼす影響を明らかにすることを目指す。その最初の段階として、単純化された三次元構造でありながら、階層性と腔構造を有する心チューブを構築する。こうした三次元再構築系モデルは、心臓発生・再生の機序解明や心機能回復を目指す革新的方法(治療)の開発を行う上で、定量的測定とシミュレーション研究をつなぐ研究基盤を築くために極めて重要である。 【ラット培養細胞系での心チューブの確立】 既に公表されている遺伝子情報を活用すること、細胞自体への遺伝子操作を加えること、などを考慮し、ラット新生仔心臓及び大動脈から単離した心筋細胞と血管平滑筋細胞を用いてた。ポリグリコール酸生体吸収高分子シートにラット胎仔大動脈血管平滑筋細胞ないし心筋細胞を播種し、積層化させた。ラット胎仔から採取した大動脈血管平滑筋細胞を順次積層化し、7層まで細胞生存性を保ったまま、重層化出来た。この再構築系を用いて、血管弾性線維形成に影響を与える要素の検討を行い、重層化した平滑筋細胞では細胞分化がより亢進しており、血管弾性線維の形成が有意に促進していることが判明した。一方、心筋細胞においては、積層化により多くの細胞が死滅してしまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心筋細胞の積層化において、単離心筋細胞群の生存率が予想以上に悪く、心チューブ形成にまで到っていないため
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Strategy for Future Research Activity |
ラット心筋細胞の単離方法及び積層化の方法に工夫を加え、細胞生存率を高くして、培養細胞系での心チューブの確立を目指す。また、初代培養細胞に生存率で限界がある場合には、H9C2(心室筋由来)やHL-1(心房筋由来)などの継代細胞株を使って、積層化を図る。確立した心チューブを拍動循環培養システムに装着し、機械的刺激(流量・圧)を与え、心筋細胞の変化を測定する。心筋細胞の変化の程度は組織学的検討や機能に重要と考えられている既知の遺伝子や蛋白の発現(膜チャネルや筋小胞体分子)などを調べることによって判定する。
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Research Products
(6 results)