2023 Fiscal Year Annual Research Report
Translational control through specialized ribosomes involved in oncogenesis
Publicly Offered Research
Project Area | Multifaceted Proteins: Expanding and Transformative Protein World |
Project/Area Number |
23H04260
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
親泊 政一 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (90502534)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 特殊リボソーム / 非典型的翻訳 / 癌 / 統合的ストレス応答 / リボソームプロファイル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、統合的ストレス応答による翻訳調節の研究から、統合的ストレス応答による翻訳抑制から翻訳効率を亢進して回復する機構を最近見出した。この翻訳効率の上昇機構は正常ではストレス回復期にのみ活性化するが、腎癌では恒常的に活性化しており、予後不良や治療抵抗性と高い相関があることもわかった。以上の予備的データから、特殊リボソームによる非典型的翻訳が発癌に関与しているのではないかという仮説を立てた。本研究では野生型とゲノム編集で作成した特殊リボソームが形成不全細胞のリボソームプロファイリングを比較解析することで、AUGとは異なるコドンから開始する非典型的翻訳と発癌との関連性を明らかにすることを目的とした。 腎癌関連特殊リボゾームが豊富に存在する細胞においては翻訳が亢進することを見出したので、野生型の786-O細胞と統合的ストレス応答で誘導される分子をノックアウトした786-O細胞から、Ribo Mega-SECにて翻訳活性が高いポリソーム分画を分取し、リボソーム構成タンパク質のプロファイルと新規に翻訳されるタンパク質の同定を質量分析で解析した。質量分析にて同定している新規に翻訳されるタンパク質の中で、The Cancer Genome Atlas (TCGA)の臨床データを用いて、候補分子発現量と癌発症率や予後不良率との相関する候補分子を見出すことができた。また、並行して進めていた特殊リボゾームの形成に必要な統合的ストレス応答で誘導される分子ノックアウトマウスは、ほとんどが出生直後に呼吸不全で死亡し、その原因として胸郭形成不全があることも明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
翻訳亢進している遺伝子の中に、The Cancer Genome Atlas (TCGA)の臨床データを用いて、候補分子発現量と癌発症率や予後不良率との相関する候補分子を見出すことができた。また、並行して進めていた特殊リボゾームの形成に必要な統合的ストレス応答で誘導される分子ノックアウトマウスは、ほとんどが出生直後に呼吸不全で死亡し、その原因として胸郭形成不全があることも明らかにできた。したがって、本研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
リボソーム構成タンパク質のプロファイル変化により、新規に翻訳されるタンパク質のプロファイルが変化して癌発症につながると予想している。本年度は、昨年度質量分析にて同定している新規に翻訳されるタンパク質の中で、癌発症に貢献するタンパク質をsiRNAによるノックダウンあるいはCRISPRによるノックアウトにて細胞増殖などへの影響などを検証してその機能を解析する。また並行して、ノックアウトマウスの表現型と翻訳制御の関連性を骨形成に注目した解析から明らかにする。 実験に必要な培養細胞の維持やサンプルの調製は技術補佐員が担当し、共通機器である質量分析器を用いた測定は大学院生に担当して、研究代表者がデータ解析を含めて研究全体を統括する。
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