2023 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習を用いた弦の有効理論の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Foundation of "Machine Learning Physics" --- Revolutionary Transformation of Fundamental Physics by A New Field Integrating Machine Learning and Physics |
Project/Area Number |
23H04512
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 啓 九州大学, 理学研究院, 助教 (80777988)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超弦理論 / 機械学習 / 素粒子現象論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、IIA型超弦理論におけるブレーン交叉模型に対して、深層学習の一種であるオートエンコーダを適用しブレーン模型の持つ特徴量を抽出した。クォークとレプトンの世代数が一致する、もしくは一致しないブレーン模型をオートエンコーダのニューラルネットワークのインプットデータとした。インプットデータはIIA型超弦理論の満たすべき様々な制約条件を満たしている。 学習後のオートエンコーダに基づき、ニューラルネットワークの中間層である2次元のボトルネックレイヤーを解析すると、クォークとレプトンの世代数が一致する現実的なD6ブレーン模型がクラスター化されることを明らかにした。特に、そのクラスターはクォーク・レプトンと結合しないD6ブレーンの持つ電荷で特徴づけられている。このことはD6ブレーンの持つ電荷に注目した解析を行うことで、効率的に現実的なDブレーン模型の構築が実行可能であることを示唆している。次年度に、この構造の背後にある起源を明らかにしていきたい。
素粒子の世代数を決定するトポロジカル量は、弦理論における様々な制約条件を満たす必要がある。トポロジカル量は、IIB型超弦理論やヘテロ型超弦理論における余剰次元空間上の磁場やIIA型超弦理論におけるブレーンの交叉角に対応する。本年度は、このトポロジカル量の上限値が弦理論におけるタドポール条件(Dブレーンの電荷保存則)により決定されていることを定量的に示した。次年度は、この得られた解析的な式に基づき、機械学習を用いた弦理論の有効理論の構築を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IIA型超弦理論のブレーン模型において、オートエンコーダーを用いて素粒子の世代数を解明する研究が進展した。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な機械学習・深層学習の手法を活用し、弦理論の有効理論の構築とその現象論研究を行い、実験・観測データとの比較検証を行う。当初の研究計画の実施のみならず、当初の研究計画より広範な分野の研究課題を遂行予定である。
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