2012 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子触媒による酸素酸化分子変換システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
24105517
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
今田 泰嗣 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60183191)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / 酸素酸化反応 / 反応場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では実用的酸素酸化分子変換システムに利用可能なフラビン分子触媒の開発のために、機能性反応場を有する固相担体にフラビン分子を固定化し、担持型触媒として回収再利用を可能とすると同時に反応場に由来する高活性・高選択性など触媒自体の高機能化を達成することを目的としている。 本年度の研究においては、(1)金ナノ粒子を担体とするフラビン金ナノ粒子触媒の合成および(2)超分子ゲルを担体とするフラビン超分子ゲル触媒の合成を達成し、ヒドラジンの酸素酸化反応を利用したオレフィンの水素化反応を用いて、その触媒活性および触媒の回収再利用性を評価した。 (1)アルカンチオールの末端位にフラビン分子を導入したジスルフィドとトリフェニルホスフィン保護金ナノ粒子との配位子交換により金ナノ粒子表面をフラビン分子で修飾したフラビン金ナノ粒子触媒の合成を達成した。さらにフラビン金ナノ粒子触媒が均一系フラビン触媒と比べて高い活性を有しており、回収再利用が可能であることを明らかにした。 (2)超分子ゲル化剤である1,2-ビス(アルカンアミド)シクロヘキサンのアルカンアミドの末端位にフラビン分子を導入し、これが高いゲル化能を有することを明らかにし、フラビン超分子ゲル触媒の合成を達成した。さらに、フラビン超分子ゲル触媒を構成するアルカンアミドの炭素鎖長と触媒活性の相関を評価し、アルカンアミドの炭素鎖によりフラビン分子触媒周辺に構築される疎水性環境が反応場として機能することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した研究実施計画は達成されており、計画時に期待したフラビン触媒の固定化による回収再利用およびフラビン分子周辺に構築された疎水性反応場に由来する触媒活性の向上を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、本年度の研究で明らかになった、フラビン分子周辺への疎水性反応場の構築による触媒活性の向上、をさらに進展させる。具体的には疎水性反応場だけでなく水素結合性反応場を構築することにより、基質選択性を発揮する超分子フラビン触媒の合成を積極的に検討する。 また、当初の計画に従って、ネットワークポリマーへのフラビン分子の担持を検討する。フラビン多孔性高分子触媒の設計にあたっては、効果的な反応場の構築を積極的に検討する。
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