2012 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザー光励起プラズマによるナノ構造の自発的形成
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Science of Plasma Nano-Interface Interactions |
Project/Area Number |
24110712
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
富田 卓朗 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (90359547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | フェムト秒レーザー / アブレーション / ナノプラズマ / 多重量子井戸 / 軟X線プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フェムト秒レーザー照射に伴うナノ周期構造形成メカニズムを明らかにするために光照射の初期過程で生じていると考えられるナノプラズマの視点を取り込みながら研究を行った。この目的を達成するために、具体的には光励起プラズマの閉じ込め効果とフェムト秒レーザーアブレーションのダイナミクスという2つのテーマについて並行して研究を行った。まず、プラズマの閉じ込めによるアブレーション過程への影響を明らかにするために、ガリウム砒素・アルミニウムガリウム砒素多重量子井戸構造にフェムト秒レーザー照射を行い、表面構造を観察した。その結果、多重量子井戸構造においてはアブレーションクレーターが光電場方向に長くなる傾向を見出した。これは、光照射中のナノプラズマが金属的な振る舞いをすることによって光電場に垂直方向の電場が消失し、ナノプラズマが光電場方向に成長することで生じていると考えられる。次に、フェムト秒レーザーポンプ・軟X線レーザープローブの時間分解反射率イメージング光学系を構築し、白金のアブレーション過程を観測した。その結果、急激な軟X線反射率低下を示す強励起領域、比較的遅い反射率低下を示す中励起領域に加え、アブレーション閾値近傍でリング状の反射率低下が観測された。これらの観測結果は、シミュレーションによって示された、spallation(機械的破砕)、 homogeneous nucleation(気泡生成)、 fragmentation(相分離)、vaporization(蒸発)の各プロセスと良い一致を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は採択初年度であるが、多重量子井戸構造へのフェムト秒レーザー照射で新奇構造が見出されるなどの成果が挙がった。また、軟X線プローブによるアブレーションダイナミクスの観測も実験結果と理論計算との比較が可能なレベルにまで進歩した。25年度はこれらの成果の公表とともに、新しい知見を得るため、さらに実験を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に現在の研究方策で問題はないと考えられるので、次年度も多重量子井戸構造へのフェムト秒レーザー誘起ナノ周期構造作製と軟X線プローブを用いたフェムト秒レーザーアブレーションプロセスの観測の両方を並行して進めていく。
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Research Products
(18 results)