2012 Fiscal Year Annual Research Report
染色体を折り畳むためのDNA領域の機能
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
24114516
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
仁木 宏典 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (70208122)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核様体 / コンデンシン / 凝縮 / 複製起点 |
Outline of Annual Research Achievements |
数億年の年月をかけて最適化されてきた原核生物のゲノムには、単にタンパク質をコードするためだけの配列を超えた高度な情報が組み込まれている。本研究では大腸菌の染色体の折り畳みに必要なゲノムの情報に着目し、ゲノム内に隠された機能の解明に取り組んだ。染色体DNAは細胞内で折り畳まれ、核様体という構造を作ることにより、その細胞長の千倍以上にもなる長い分子を安全に保持できる。この折り畳みの仕組みの概要は、まず、DNAの超らせん化が起こり、さらにコンデンシンによる凝縮化が続いて起ると考えられる。実際にバクテリア染色体では、コンデンシンは核様体の上の一カ所に特に局在している。これが、どのような染色体領域のであるのかは大腸菌では解っていない。他方、枯草菌ではrDNAの領域に結合していることが明らかにされているが、その機能的な意義は解っていない。今回、大腸菌でも同じくrDNAの領域に結合しているのかRNA-Chip解析により調べたが、特異的な結合は検出されてなかった。通常のChip解析でも、染色体の領域への特異的な結合は検出できなかった。一方、再構成で大腸菌のコンデンシンであるMukBEF複合体の機能的な結合活性を解明するため、MukB, MukE, MukEのin vitro発現系を構築した。これにDNAを付加した磁気ビースを加え、コンデンシンのアッセイ系とした。これを用いて特異的な結合領域の検出を開始した。他方、遺伝学的な研究から、核様体の形成についても研究を進めてきたが、Terドメインの形成にはMatPとFtsKの2つの作用によって形成されることを明らかにし、細胞周期特異的に形成されるモデルを構築した。真核生物であるジャポニカス酵母では、染色体の複製起点の配列特性が近縁の分裂酵母とは異なっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室の研究支援員や研究員の人員の体制が代わり、その補充などが遅れ研究が遅れていたが、すべての体制が整い計画が進み始めたので、期間内には計画どおりに遂行できる見通しである。再構成系などの構築は予定よりも以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌と枯草菌は、原核生物の代表的なモデル生物であり、共通した原理の元に細胞は分裂する。が、その一方で機能する分子や様式が異なることも多い。そのため、両者の比較は、内在する共通原理を見出すことが出来る点で有用である。その大腸菌と枯草菌でそれぞれゲノム縮小株が作製されており、それらの株を本研究の推進に利用できるようになった。さらにrDNA遺伝子の欠失株も両種で利用できることになった。これらを新たに加えて、染色体の折り畳みに必要なゲノムの情報の探索を行う。また、計画している再構成系でのMukBEF複合体の機能的な解析を推進して、コンデンシンの機能を明らかにする。遺伝学的な解析では、大腸菌のMukBEF複合体が枯草菌で機能するか、逆に、枯草菌のSmc複合体が大腸菌で機能するのか検証する。これにより、バクテリアのコンデンシン複合体の機能がゲノム特異的であるかどうか明らかにできる。この知見は、コンデンシン複合体の理解に貢献できると期待できるので精力的に行う。
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Research Products
(1 results)