2012 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス機能制御における少数分子の空間的コーディネートの意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
24115502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
並木 繁行 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90452193)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | グルタミン酸 / 超解像イメージング / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
個々のシナプス前終末でのシナプス小胞の放出確率及びアクティブゾーンでのシナプス小胞の放出部位の数を見積もるための方法論の確率を行った。細胞外カルシウム濃度を変化させることによってグルタミン酸の放出量と放出確率を変動させながら、単一シナプスグルタミン酸イメージングを行った。グルタミン酸イメージングには本研究室で開発に成功している蛍光性のグルタミン酸プローブを用いた。グルタミン酸放出に伴うグルタミン酸プローブの蛍光変化の平均と分散との関係を基に量子解析を行う事によって、放出確率、放出部位の数を見積もった。次に、RNAiライブラリーを用いた遺伝子ノックダウンや過剰発現系によってシナプスに局在する遺伝子群を増減させた培養神経細胞での放出確率、放出部位の数への影響を調べた。本年度は、シナプス小胞の輸送に関与することが指摘されている、Munc13-1をノックダウンした海馬の分散培養標本を作製し、グルタミン酸イメージングデータを基にした量子解析によって標本内の個々のシナプスについて放出確率、放出部位の数を見積もり、コントロール標本との差異を調べた。その結果、Munc13-1がアクティブゾーンのシナプス小胞の放出部位の数の制御に関与していることを明らかにした。 アクティブゾーンでのMunc13-1を初めとする機能分子の超分子構造とグルタミン酸放出パラメーターとの直接的な対応付けを行うために、アクティブゾーンでのシナプス分子の局在を観察するための超解像顕微鏡システムでセットアップを完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であったグルタミン酸イメージングによるプレシナプスでのシナプス小胞の放出確率や放出部位の数を見積もる方法論を確立することができた。また、次年度以降、必須の技術となるアクティブゾーンに局在する分子群の超分子構造を精緻に理解するための超解像顕微鏡システムの仕様の最適化が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに最適化を完了した条件でアクティブゾーンにおける機能分子の超解像イメージングに取り組む。さらに、グルタミン酸イメージングによってシナプス前終末での放出部位の数や放出確率を見積もったシナプスに対して、超解像顕微鏡による高精細イメージングを行い、各シナプスでの放出部位の個数や放出確率と関連分子のナノメートルオーダーでの配置との関連性を明らかにする。 刺激周波数によってグルタミン酸放出への放出部位数や放出確率の寄与が異なるという現象がどの分子のどのような空間コーディネートによって実現されているのかを調べる。一連の実験を通じて得られたナノドメインでの制御分子やシナプス特性の時空間パラメーターを入れ込んで、刺激周波数に依存した可塑的な制御が放出部位が少数だからこそ実現できるという事を説明する。
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