2012 Fiscal Year Annual Research Report
親近性による子どものロボットへの興味喚起プロセスの時空間的モデル化
Publicly Offered Research
Project Area | Founding a creative society via collaboration among humans and robots |
Project/Area Number |
24118708
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
高橋 英之 玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCOE研究員 (30535084)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人とロボットのコミュニケーション / 擬人化 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
新学術領域の領域内共同研究として擬人化に関わる脳機能計測の研究を行った.われわれはしばしば機械であるロボットに心を帰属して擬人化する.しかし近年の質問紙研究で,このような擬人化は一つの軸では表現されておらず,多次元的な軸として処理されていることが分かってきた.そこでこのような異なる擬人化の軸がどのように脳の中に表現されているのかを調べるために,様々な相手(人間,アンドロイド,メカメカしいロボット,可愛らしいロボット,賢そうなコンピュータ)と硬貨合わせ課題という対戦ゲームを行なっていると教示した際(実際には対戦相手は常に同一のコンピュータ)のそれぞれの対戦相手に対する脳活動の違いについて検討した. 結果として,被験者の対戦相手に対するアンケートの評定値を主成分分析することで,人間らしさの項目と正の相関がある二つの要因が見出された.一つの要因は,人間らしさに加えて,かわいさ,親しみ,温かさなどの項目と正の相関があった.このような要因の性質から,この要因を「共感的な擬人化」と呼ぶ.その一方,もう一つの要因は人間らしさに加え,賢さの項目とは正の相関があり,かわいさ,親しみ,温かさなどの項目と負の相関があった.このような要因の性質から,この要因を「志向的な擬人化」と呼ぶ.さらに硬貨合わせ課題を行なっている被験者の脳活動をfMRIにて計測し,パラメトリック解析によりゲームの対戦相手の二つの擬人化の要因の値に相関する脳部位を探索した.その結果,共感的な擬人化の要因とは,前頭葉内側面,後部帯状皮質,前部上側頭溝などの活動が正の相関を示すことが分かった.一方で志向的な擬人化の要因とは,側頭極の活動が正の相関を示した.また側頭・頭頂接合部の活動はどちらの擬人化の要因とも相関をしめしたが,特に上部は共感的な擬人化の要因と,下部は志向的な擬人化の要因と相関を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロボットの擬人化にかかわる新学術領域の領域内共同研究として,アンドロイドなどのロボットを用いた斬新なfMRI実験を行った.その結果,ロボットの擬人化に関わる脳機能についての新しい知見を得ることができた.ただ子供とロボットの交流中におけるモーションキャプチャのデータ取りを行なう実験については現在継続中であり,また結果が十分にでているとは言えない.今後はこちらの成果も形にすることが求められる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,子供のロボットに対する興味の持続の背後にある要因の計算モデル化に向けて,データをより多く収集するとともに,計算モデルの構築を行う.そしてロボットの動作アルゴリズムに計算モデルを実装することにより,長く子供の興味を惹きつけることが可能なロボットの振る舞いについて検討することを目指す.得られた成果は論文などにより対外的に発表できたらと考えている.
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Research Products
(10 results)