2013 Fiscal Year Annual Research Report
福島原発事故由来の硫黄放射性同位体モデルを用いた硫酸塩エアロゾルの動態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Interdisciplinary Study on Environmental Transfer of Radionuclides from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident |
Project/Area Number |
25110502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 知里 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 特任研究員 (40435839)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性硫黄同位体 / 硫酸塩エアロゾル / 大気輸送モデル |
Research Abstract |
平成25年度は、まず、Danielache, et al. (2012)以降に公開されたPriyadarshi et al.(2013)をもとに、関東地方と福島県内で観測された放射性硫黄同位体(35S)のデータから天然由来の35S を差し引き、福島原発事故由来35S のデータアーカイブを作成した。 次に、得られたデータセットをもとに、Danielache, et al. (2012)の実験を7月中旬まで延長させた実験を各放出量ごとに4ケース行い、また4月以降の放出を0とした実験も行った。得られた計算結果とデータアーカイブとの比較から、Danielache, et al. (2012)よりも、高精度な35S放出量と中性子放出量の見積もりを行うことができた。本研究のモデルでは、2011年3月23日から4月1日の期間の福島原発からの35Sの放出量は約1000×1013 atoms s-1であり、4月下旬には数1/1000まで減少したと見積もられた。また、同実験結果と福島県内で観測された35S濃度との比較をもとに、福島県内における硫酸塩エアロゾル態35Sの再飛散率を見積もった。その結果、福島県内の地表面に沈着した硫酸塩エアロゾル態35Sのうち、約半数が再度飛散している可能性が示唆された。さらに、今年度は、Danielache, et al. (2012)のモデルに硫酸塩エアロゾル生成過程の導入に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の研究実施計画の35Sデータアーカイブの作成と硫酸塩エアロゾル生成過程の導入を、当初の計画通りに実施することができたため、今年度は、「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に作成したデータアーカイブを用いて、平成25年度にモデルへ導入した硫酸塩エアロゾル生成過程の評価を行い、硫酸塩エアロゾルの動態の解明を行う。 また、本研究で用いている全球3次元大気輸送モデルは56×56kmであるため、福島県内の観測点は放出源のとなりのグリットに含まれる。今後は、福島県内の35Sの再飛散量の見積もりの精度向上を目的として、領域モデルへの35Sの導入を試みる。
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