2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性を伴うリソソーム蓄積症におけるシナプス病態の解明と治療への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
25110722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 孝司 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00184656)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シナプス形成 / 神経変性疾患 / リソソーム蓄積症 / iPS細胞 / 神経系分化誘導 / 酵素補充療法 / 蛍光イメージング / イメージングMS |
Research Abstract |
神経変性と中枢神経症状を伴うリソソーム蓄積症として、リソソーム性β-ヘキソサミニダーゼA(HexA, αβヘテロ二量体)の遺伝的欠損により、GM2ガングリオシド(GM2)の脳内過剰蓄積を伴うTay-Sachs病(TSD)とSandhoff病(SD)、またカテプシンA(CTSA)の遺伝子変異が原因で、ノイラミニダーゼ-1(NEU1)の同時欠損と末端シアル酸含有糖鎖蓄積を伴うガラクトシアリドーシス(GS)を対象とし、これらの疾患におけるシナプス病態の解明と新規治療法開発への応用を目的として研究を進めた。 H25年度は、GM2分解能とプロテアーゼ耐性を示す改良型HexB(ββホモ二量体)を高発現するCHO細胞株を樹立し、その培養上清から精製したマンノース-6-リン酸(M6P)含有糖鎖付加型HexBをSDモデルマウスの脳室内投与することにより、脳実質内に移行し、歩行障害発症の遅延と寿命を延長させることに成功した。また連携研究者が開発した新規人工蛍光基質(Rhodol β-GlcNAc)及び酸性pH活性化プローブ(RhPM)を用い、投与酵素の組織内イメージングと、質量顕微鏡を用いるイメージングMSによる蓄積基質の分布・変動解システムを構築した。さらにTSD患者iPS細胞から、Neurosphereを経る神経系細胞の分化誘導培養系を構築し、接着培養開始2週後に神経前駆細胞及び成熟神経細胞における顕著なGM2の蓄積を明らかにし、高M6P付加型組換えヒトHexAの補充時に、カチオン非依存M6Pレセプター(CI-M6PR)を介した細胞内取り込みとリソソームへの輸送及び蓄積GM2の減少を評価できた。 一方、日本人GS症例で同定されているスプラシング異常誘導型変異をコンディショナルに誘導できる変異ノックインマウスを作製し、ホモ接合体を獲得した。今後、病態モデルとしての妥当性と組換えCTSAによる治療効果の評価に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来有効な治療法がない、脳内GM2ガングリオシド蓄積と中枢神経症状を伴うβ-ヘキソサミニダーゼA(HexA,αβヘテロ二量体)欠損症(Tay-Sachs病及びSandhoff病)に対する新規治療薬候補として、本来GM2分解能を持たないβ鎖遺伝子を改変し、その分解能とプロテアーゼ耐性の改良型HexB(ββホモ二量体)の創製と精製に成功し、Sandhoff病モデルマウスの脳室内に一回投与することにより、運動障害発症の遅延と寿命を延長させることに成功した。また連携研究者が開発した、Hexに対する新規人工蛍光基質や酸性pH活性化蛍光プローブによる改変型HexBの標識体を用いて、補充した酵素の脳内分布イメージングに成功した。また質量顕微鏡を用いてモデルマウスの脳内に蓄積するGM2及びasialoGM2のイメージングシステムを構築できた。 日本人種に多いカテプシンA(CTSA)欠損症患者で同定されている第7エキソンスキッピング誘導する塩基置換をコンディショナルに導入したマウスを作製し、病態モデルの候補となる劣性ホモ接合体を獲得できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)H25年度に創製できた、HexA欠損に基くGM2蓄積症(Tay-Sachs病とSandhoff病)治療用の改良型HexBをモデルマウスの脳室内や、患者iPS細胞から分化誘導した神経系細胞に投与する前後で、補充酵素の各脳領域や神経系細胞内での分布や蓄積基質の変動をイメージングシステムにより解析するとともに、シナプス形成因子や神経炎症関連遺伝子の発現変動との相関を解析する。得られる知見から、基質蓄積から神経変性に至る要因を、リソソーム機能、シグナル伝達経路や細胞間相互作用等の観点から解析し、新たな治療ターゲットを解明する。 2)日本人カテプシンA患者の90%以上に認められる第7エキソンスキッピングを誘発する塩基置換をコンディショナルに導入した変異ノックインマウスを作製できたので、本マウスの劣性ホモ接合体が、中枢神経症状の発症を含め、日本人症例の病態モデルとしての有用性を評価するとともに、治療用組換え酵素の有効性を検討する。
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Research Products
(46 results)
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[Journal Article] Combination with a defucosylated anti-HM1.24 monoclonal antibody plus lenalidomide induces marked ADCC against myeloma cells and their progenitors.2013
Author(s)
Takeshi Harada, Shuji Ozaki, Asuka Oda, Daisuke Tsuji, Akishige Ikegame, Masami Iwasa, Kengo Udaka, Shiroh Fujii, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Kumiko Kagawa, Yoshiaki Kuroda, Shigeto Kawai, Kouji Itou, Hisafumi Yamada-Okabe, Toshio Matsumoto and Masahiro Abe
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 26
Pages: No.8(12)
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Establishment of patient-derived iPS cells with neurodegenerative lysosomal storage diseases and application for evaluating lysosomal enzyme replacement effects on differentiated neural cells.2014
Author(s)
Kouji Itou, Daisuke Tsuji, Mariko Ikuo, Keisuke Kitakaze, So-ichirou Nishioka, Izumi Imataki, Saeka Yamaguchi, Yasunori Chiba, Hitoshi Sakuraba, Isao Kobayashi, Hideki Sezutsu and Hiroaki Machii
Organizer
The IUBMB 10th International Symposium on Cell Surface Macromolecules
Place of Presentation
Saha Institute of Nuclear Physics,Kolkata(India)
Year and Date
20140119-20140121
Invited
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[Presentation] Molecular properties of recombinant human lysosomal enzyme prduced by transgenic silkworm and therapeutic potential for lysosomal storage disease.
Author(s)
Kouji Itou, Daisuke Tsuji, So-ichirou Nishioka, Syunsuke Ikedo, Tetuya Higashi, I Kobayashi, H Sezutsu, A Ishii, K. Harazono, M. Tada, Nana Kawasaki and Hiroaki Machii
Organizer
Gordon Research Conference 2013 Lysosomal Diseases
Place of Presentation
Renaissance Tuscany Il Ciocco Resort ,Lucca(Italy)
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[Presentation] 新規機能性RNA psm-mecはagrA遺伝子の翻訳を抑制してメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の病原性を抑制する
Author(s)
幾尾 真理子, 齋藤 裕樹, 大前 陽輔, 毛 瀚, 長野 源太郎, 藤幸 知子, 沼田 俊介, 韓 笑, 小幡 佳津明, 長谷川 節雄, 山口 博樹, 猪口 孝一, 伊藤 輝代, 平松 啓一, 伊藤 孝司, 関水 和久, 垣内 力
Organizer
第86回日本生化学会大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県)
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[Presentation] ガラクシアリドーシス治療薬候補としてのトランスジェニックカイコ由来ヒトカテプシンAの解析
Author(s)
西岡 宗一郎, 小林 功, 辻 大輔, 池戸 駿介, Md.RAHMAN Motiur, 東 哲也, 真板 宣夫, 瀬筒 秀樹, 町井 博明, 原園 景, 石井 明子, 川崎 ナナ, 伊藤 孝司
Organizer
第86回日本生化学会大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県)
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[Presentation] バイオ医薬品の生産基材としてのトランスジェニックカイコとネオグライコバイオロジクス創製への応用
Author(s)
伊藤 孝司, 小林 巧, 西岡 宗一郎, 原園 景, 久保 勇樹, 真板 宣夫, 辻 大輔, Md Motiiur RAHMAN, 池戸 駿介, 石井 明子, 川崎 ナナ, 町井 博明, 瀬筒 秀樹
Organizer
第32回日本糖質学会大会
Place of Presentation
大阪国際交流センター (大阪府)
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[Presentation] ガラクシアリドーシス治療薬候補としてのトランスジェニックカイコ由来ヒトカテプシンAの解析
Author(s)
西岡 宗一郎, 小林 功, 辻 大輔, 池戸 駿介, Md.RAHMAN Motiur, 東 哲也, 真板 宣夫, 瀬筒 秀樹, 町井 博明, 原園 景, 石井 明子, 川崎 ナナ, 伊藤 孝司
Organizer
第54回日本生化学会中国・四国支部例会
Place of Presentation
徳島大学(徳島県)
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