2014 Fiscal Year Annual Research Report
児童期の性的虐待被害者のレジリエンスを支援する時効法改革の提言
Publicly Offered Research
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
26101709
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 克美 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40309084)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 児童の性的虐待 / PTSD / 損害賠償請求権 / 消滅時効 / 除斥期間 / 民法改正 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 文献・資料収集と分析 児童期の性的虐待被害をめぐる法と心理関係の内外の文献や各種報告書などを国立国会図書館、学内図書館、国内・海外調査時に収集し、分析を行った。 2 国内調査 児童期の性的虐待被害に長期間苦しんでいる成人女性からの電話相談件数や傾向などについて、被害者支援団体関係者よりヒアリングを行い、有益な知見を得た。また、そのような被害に苦しんでいる女性が、児童期から20数年を経て加害者である叔父に民事損害賠償請求訴訟を提起した事件の原告側代理人に、提訴に至る背景や原告にとっての訴訟の意義などにつき弁護士としての感想・意見などを聞くことができ大変参考になった。 3 児童期の性的虐待被害の支援に先進的な取組、法整備を行っている韓国、ドイツにおいて、被害者支援団体、被害者支援弁護士、政府関係者らにインタビュー調査を実施し、最新の知見を得ることができた。 4 研究成果の発表 法社会学会(2014年5月・大阪大学)、民主主義科学者協会法律部会民事法夏合宿(同年8月・愛知県)、法心理学会(同年10月・関西学院大学)、札幌法と心理研究会(2015年・北海道大学)にて、表記テーマに関する研究成果の中間報告を行った。 5 論文の発表 児童期の性的虐待被害を含めた時効法解釈と立法提案に関する論文を発表した(「民法724条後段の20年期間の起算点と損害の発生 ― 権利行使可能性に配慮した規範的損害顕在化時説の展開 ―」立命館法学357・358号1809-1848頁(2015年3月))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 国内文献はかなり収集・分析した。 2 国内調査については、予定通り、被害者支援団体、被害者支援弁護士にヒアリングをすることができた。 3 海外調査については、予定通り、ドイツ、韓国調査を実施することができた。4 研究成果発表については、上記の通り、2つの学会、2つの研究会で報告し、関連する論文を1本発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1 海外文献を中心に収集し、分析を行う。 2 国内調査については、まだヒアリングしていない被害者団体、被害者支援弁護士等にヒアリングを行う。3 海外調査については、アメリカを中心に行い、相手との日程があえばドイツ、韓国に短期間の補充調査を行う。 4 研究成果を3つの学会(日本ドイツ学会・6月、法心理学会・10月、ジェンダー法学会・12月)で発表する。また、関連する判例研究の論文を2本程度発表する。
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Research Products
(10 results)