2014 Fiscal Year Annual Research Report
メンタルタイムトラベルの脳情報基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | The Science of Mental Time: investigation into the past, present, and future |
Project/Area Number |
26119536
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
神谷 之康 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 室長 (50418513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳イメージング / 脳デコーディング / メンタルタイムトラベル / マインドワンダリング |
Outline of Annual Research Achievements |
単純な課題を行っている際に注意が課題と関連のない、内的な思考にそれる現象を利用して、自発的に生じる思考内容を同定するための行動実験を行った。使用する課題については、sustained attention to response課題を用い、数分ごとに課題を中断して思考内容に関する報告を課すexperience samplingを繰り返した。質問に対する回答・自由記述の内容をもとに、各サンプリングの内容をマインドワンダリングの有無、情動的にポジティブ/ネガティブ、過去/未来/現在の想起、という観点で分類し、マインドワンダリングの頻度や内容の傾向について分析を進めた。
上記と並行して、マインドワンダリング内容のデーコーダを作成するため、課題誘発型の脳活動を取得する実験を進めた。特定の物体名をキュートして提示し、その後20秒間、その物体に関連する視覚的想起を行っている間の脳活動をfMRIで計測した。想起内容が高い精度でデコードできること、画像を見ている時の脳活動や夢見中の脳活動と類似の脳情報表現が見出されることなどが明らかになった。想起中の脳活動では、比較的高次の脳部位の活動パターンから夢の内容を高精度で予測できることがわかり、これは、夢の脳情報表現がボトムアップの知覚だけではなくトップダウンの想起とも類似していることを示唆している。この単純想起課題に加え、特定の文体が現れる過去の出来事を想起する課題や未来の出来事を想起する課題についても予備実験を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初このプロジェクトに参加する予定であったEPFLからの学生が、家族の事情で日本に滞在することができなくなり、研究のスタートが遅れたが、研究室メンバーでグループを再編成し、当初目標としていた課題を遂行することができた。マインドワンダリングのexperience sampling の結果は内容に個人差が大きく、具体的な内容の解読には今後自然言語処理等を用いたさまざまな工夫が必要となることが予想される。一方、時制や情動による内容の大まかな分類は比較的容易にできることが確認できた。時制を含めた想起課題の予備実験の結果は、予想以上に興味深い知見が多数含まれていた。マインドワンダリングのデコーディングに適用する以前に、この結果を本実験で確認し、出版の準備を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マインドワンダリング課題中の脳活動をfMRIで計測する。Horikawa et al. (2013)と同様、fMRIは連続的に記録し、マインドワンダリングの報告が得られたサンプリングの直前の脳活動データから特徴ベクトルを作成する。行動実験と同様の方法で報告内容を解析し、その結果をもとに直前の脳活動パターン(特徴ベクトル)にラベルを付与する。前年度と異なるトッピックの報告が多数報告される場合は、この実験で同定されたトピックを用いて、前年と同じ知覚・想起実験を追加で実施する。
想起課題データを用いて過去/未来を判別するデコーダを構築し、マインドワンダリングの内容が過去/未来に関するものであるかを脳活動から予測できるかを調べる。また、現在(知覚・認知)、過去(想起)、未来(想起)課題のデータとマインドワンダリング課題のデータの間でデコーディング解析を行い、これら4つのデータセットの間の汎化精度を調べる。この解析により、被験者の意図的な想起によるメンタルタイムトラベルと被験者の意図とは独立に自動的に生じるメンタルタイムトラベル(マインドワンダリング)の間で脳情報表現の類似性・相違を定量化する。
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Research Products
(3 results)