研究課題/領域番号 |
22KJ1920
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補助金の研究課題番号 |
22J15955 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 慶悟 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | がん / Hippo経路 / ショウジョウバエ / 細胞競合 / スーパーコンペティション / microRNA / bantam / がん進展 |
研究開始時の研究の概要 |
がん抑制経路であるHippo経路の変異細胞は、周囲の正常細胞に細胞死を誘導して駆逐する「スーパーコンペティター」として振る舞い、腫瘍形成を促進する。これまでの解析により、Hippo変異細胞はmicroRNAのbantamの発現誘導を介して、正常細胞に細胞死を誘導することが分かった。本研究では、bantam発現細胞による細胞死誘導メカニズムを解明するため、約1,700種類の遺伝子変異を導入した。その結果、bantam発現細胞による細胞死誘導が抑制される3系統の変異体を同定した。これら変異体による細胞死抑制メカニズムを解明し、スーパーコンペティションを介したがん進展制御の分子基盤の理解を目指す。
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研究実績の概要 |
進化的に保存されたがん抑制経路であるHippo経路の変異細胞は、周囲の正常細胞に細胞死を誘導して駆逐する「スーパーコンペティター」として振る舞うことが知られている。この現象は「細胞競合」と呼ばれ、組織中で適応度の異なる2つの細胞が隣接した際に、適応度の低い細胞が細胞間相互作用によって排除される。これまでの解析により、Hippo変異細胞が「スーパーコンペティター」として振る舞い、良性の腫瘍を形成するためにはmicroRNAのbantamが必要であることが明らかとなった。そこで本研究では、bantam発現細胞がどのように周囲の正常細胞に細胞死を誘導するのかを明らかにするために、ショウジョウバエを用いた大規模な遺伝学的スクリーニングを実施した。具体的には、CRISPR/Cas9により作製されたノックアウトフライライブラリーを用いて、約1,700種類の遺伝子のホモ突然変異をbantam発現細胞に導入し、正常細胞への細胞死誘導が抑制される変異体を探索した。本スクリーニングの結果、3系統の変異体でbantam発現細胞によるスーパーコンペティションが抑制されることが明らかとなった。その中で特にスーパーコンペティションの抑制が顕著に見られたクロマチンリモデリング因子のYL-1に着目して解析を進めた。驚くべきことに、YL-1と複合体を形成するTip60のノックダウンによっても、bantam発現細胞によるスーパーコンペティションの抑制が見られたことから、Tip60複合体がスーパーコンペティションを制御することが示唆された。今後、Tip60複合体による細胞死抑制メカニズムを解析し、スーパーコンペティションを介したがん進展制御の分子基盤の理解を目指す。
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