研究概要 |
[方法]1)ヒト胆管癌細胞HuCCT1およびHuH28にapoptosisを誘導する作用を持たないanti-Fas monoclonal antibody(mAb),4B4を加え,さらにこのmAbに対するfluoresceinで標識された第2抗体を加えてFasの発現をflow cytometry(FCM)により分析した.2)ヒト胆管癌細胞に0.01,0.4,4.0μg/mlのapoptosisを誘導する作用を持つanti-Fas mAb,CH-11を加えて培養し,3日後に生細胞数を測定した.3)1.0μg/mlのCH-11を加えたヒト胆管癌細胞と,陽性controlとしてDNase Iを加えた細胞を,TUNEL法を用いてfluoresceinにより標識しFCMにより分析した.4)ヒト胆管癌細胞に1.0μg/mlのCH-11を加えて3日間培養し,細胞からDNAを抽出してagarose gel electrophoresisにより分析した.5)ヒト胆管癌細胞に10μg/mlの4B4を加え24時間培養した後,1.0μg/mlのCH-11を加えて3日後に生細胞数を測定した.[結果]1)HuCCT1およびHuH28細胞において,それぞれ21.7および30.9%のFasの発現を認めた.2)HuCCT1およびHuH28細胞において,CH-11は0.01-1.0μg/mlの濃度で用量依存性に,細胞数を3日間でそれぞれ最高16.4および71.7%減少させた.3)CH-11を加えた細胞においては,陽性control細胞と同じ位置のpeakを認め,DNAの断片化が証明された.4)CH-11を加えた細胞から抽出したDNAのelectrophoresisではsmear状となった。5)HuCCT1細胞においては、4B4はCH-11による細胞数の減少に変化を与えなかった。HuH28細胞においては、4B4はCH-11による細胞数の減少を41.7%抑制した。[結論]ヒト胆管癌細胞においてFasが発現していること,anti-Fas mAbによりapoptosisが誘導されること,4B4によりCH-11のapoptosis誘導作用が抑制されることが明らかとなった.
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