研究課題/領域番号 |
17K02918
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研究機関 | 京都外国語短期大学 |
研究代表者 |
安木 真一 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 教授 (70637991)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スローラーナー / 高校英語教育 / 文法(語順・後置修飾) / 単語の音韻化 / 動機づけ / スピーキング(自己表現) / 指導法 / つまずき |
研究実績の概要 |
本研究は既に全体発表会を2020年1月に行い成果報告を行った。詳細に関しては、次年度の研究も含め最終報告書にて報告する。安木の全体の方向性や先行研究に基づく分析の元に、研究協力者による以下のような研究がなされた。梶谷和司氏は「高校生のためのフォニックス指導~生徒が英単語を正しく読めて書けるようになるために~」で昨年の研究を広げスローラーナーに文字と音声の結びつきを身につけさせる指導法についてさらに研究を深めた。渡部正実氏は定時制高校での経験を踏まえ、「スローラーナーに対するマルチメディアを用いた語彙・文法指導」のタイトルでフォントなどの工夫も含めたユニバーサルデザインのハンドアウト作成、語順指導、ICTを用いた有効な指導法など様々な角度から実践研究を行った。近藤泰城氏は「後置修飾の習得を目指すアニメーション教材」のタイトルで、PowerPointのアニメーションを使った指導法に関する実践研究を行った。更に「工業高校におけるスローラーナーに配慮した授業プロセス」のタイトルで習熟度の差が大きい実業高校での1つの授業形態を実践し提案した。村木美奈子氏は「英語表現授業におけるスローラーナー指導」のタイトルで、「科目の指導目標」「4技能統合」「音読」「教員負担感の少ない準備」「暗唱例文を使った自己表現」の5つの基本方針で実践研究を報告した。岩崎美佳氏は「スローラーナーに対する効果的なコミュニケーション活動(言語発信)指導」について、目標とする英語表現や文法項目を、スローラーナーが言語発信できるようになる道筋を実践し分析した。松田裕史氏は「音読中心の4技能統合型指導におけるスローラーナー指導」に関して実践し効果を実証した。安木は「音声と文法上のつまずきを克服するための10の指導法の提案」のタイトルで、スローラーナーの音声と文法のつまずきのレベル別の指導法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的な会合と、メールでの交換を行い、2020年1月には京都外国語大学にて、「高校英語におけるスローラーナーを支援するための実践的英語指導法と教材開発に関する研究」に関する最終発表会(安木真一代表科研)を行い、すでに大枠の方向性と各自の教材開発はほぼ終了することができた。 研究に際しては研究者が各研究協力者の学校を訪問したり、頻繁に意見交換や研究者による助言を行い、研究者も実践者として実践を行った。実践者と研究者が共同で高校英語教育の改善を図るという本研究の大きな特徴に関して予定通り実施できたと考えている。 音声の指導に関しては安木がレベル別の指導を提案し、音声認知の自動化のような低次の指導に関しては梶谷氏によるフォニックスの提案、文章レベルでは全員による音読指導の様々な方法の提案、村木氏と岩崎氏による発信指導におけるスピーキング指導法の提案などの実践研究がなされた。文法の指導に関しては安木による様々なレベルでの指導法提案、渡部氏による語順指導、近藤氏による後置修飾の指導、岩崎氏による発信指導での文法指導など様々な角度から研究がなされた。統合的指導法に関しては松田氏による進学校での実践とデータ分析、近藤氏による実業高校での実践と研究がなされた。ICT指導に関しては全員がICTを利用したが、特に渡部氏による様々なアプリを利用した指導の提案、岩崎氏と安木による音読アプリQulmeeを使用した個別化した音読指導の方法の提案、近藤氏によるアニメーションを用いた文法教材作成など従来にない新しい指導法が提案された。 本研究が目標としてきた指導法や教材開発について目標に近いところまで現時点で研究がなされていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は大枠として実践指導法の提案や、教材の開発が目標にほぼ近づいていると言える。しかし本研究のもう一つの大きな目標である、実践した内容や研究した内容を高校英語教員の間に広め、高校英語教育の改善に寄与するという目標に関しては、まだ達成されていると言えない。英語の勉強につまずいている高校生は全国各地におり、またそのような高校生をどのように指導するか苦労している高校教員も全国にいると言える。最終年度は我々の研究内容を少しでも拡め、高校英語教育の改善のために寄与することが目標である。現在新型コロナウイルス拡大のため、研究発表会等を開くのが困難な状況にあるが、何らかの方法で指導法や教材を広めることに寄与したい。一つは現在すでに編集中であるスローラーナー指導に関するジャパンライム社のDVDの完成を急ぎ、発刊させたい。オンラインでの開催等の方法で何らかの研究会を開くことを通して研究内容を流布することを考えたい。また論文や書籍などを通して内容を報告することも視野に入れたい。 現在までの研究実践内容に関して改善すべきところを改善し、さらに良い指導法や教材の開発について考えて行くことも継続しながら、高校現場改善のための道筋を探りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度研究を高校英語教員を始め社会に還元することが十分であったとは言えない。そのため本年度に社会還元のための活動をするための資金が必要になったため。
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備考 |
安木真一監修「音読トレーナーQulmee(英語学習アプリ)」EAST株式会社
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