インタビューや自然発話の談話分析により、高齢者の話の冗長性(長い、またはくどいと感じられる)は、同じ話題の「反復」と経験談を主とする「エピソード形式の語り」から成り立っていることが確認された。「反復」は、マイナスのイメージを伴う話題(過去や現在の不幸)やプラスの自己評価に関する話題に多くみられる。また「エピソード形式の語り」は、高齢者の居室におけるホームヘルパーとの業務中の(共感的な)会話においても多く現れる傾向がある一方で、(たとえばケアマネージャや家族による)運動や食事等に関する健康管理や生活態度についての指示・指導に対して抵抗するとき(努力によっては改善の余地がない、またはすでに精一杯の努力をしていることを力説するとき)にも、多く現れることが観察された。
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