哺乳類の着床前胚の体外培養技術は、ヒトの不妊治療や発生工学技術に不可欠である。近年、胚の栄養環境がその後の発生率や産子率に影響するだけでなく、胎児や胎盤の発達、さらに成体において生活習慣病などの疾患リスクに結びつくことが示唆されているが、その全体像や詳細な機構は不明なままである。 本研究では、胚のグルコサミン経路、小胞体ストレス、alphaMEM培地による培養が胚および産子に及ぼす影響について明らかにした。特に、将来糖尿病を発症するalphaMEM培養液の培養では細胞小器官の一つである核小体の形態異常を見出し、胚の栄養環境等の攪乱により核小体の形成不全が長期に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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