Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
人が他者や自己を集団に分類する際に用いる理論として知られる「心理的本質主義」について, その適用が行動に与える影響を明らかにすることを第一の目的, またそれを測定する日本語の尺度を作成することを第二の目的として, 研究を実施した。人は, 個々の集団に独特の核となる「本質」の存在を信じ, 心理的本質主義を適用した集団の認知を行うことで, 自分が所属する集団と他の集団を, 現実以上に差別化し, 他の集団に対するネガティブな評価を正当化すると言われている。 第一の目的の背景には, これまでの研究成果の限界を克服する目的があった。これまでの研究では, 心理的本質主義の信念が, 自己や他者の特徴の認知や推測に影響を与えることが示されたが, その信念を持つことが人の行動にどのような影響を与えるのかについて明示できていないという限界があった。そこで本年度は, 心理的本質主義の信念の実験的な操作を行い, 自分が所属する集団と他の集団を積極的に差別化し, 他集団他者に対する排他的な行動を引き起こす過程を示そうとした。しかしながら, 心理的本質主義が実験的操作によって強化されることは示せたものの, その強さが差別化行動に直接的な影響を与える過程については実証することができなかった。これには, 実験的に操作した心理的本質主義の概念と差別化行動としーて測定した概念の乖離が原因として考えられる。 第二の目的として, これまで日本で行ってきた心理的本質主義の研究知見を総合し, 学生や一般の人々にとって回答しやすい尺度の測定を試みた。500人以上のデータを収集し, 尺度として採用する項目の選定を行った。得られたデータをもとに, 信頼性の検定や, 類似する他概念と比較する形での妥当性の検定を行った。信頼性と妥当性の高い尺度を作成することができたため, その尺度を用いて新たなデータを収集し, 回答の容易さを追求した尺度を開発する工夫を行った。
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