研究課題/領域番号 |
15520429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
水羽 信男 広島大学, 大学院総合科学研究科, 助教授 (50229712)
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研究分担者 |
曽田 三郎 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (40106779)
楠瀬 正明 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (40033518)
金子 肇 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70194917)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 都市 / 中国国民党 / 中国共産党 / リベラリズム / ナショナリズム / メディア空間 / 1949年革命 / 抗日戦争 / 都市知識人 / 立憲主義 / マス・メディア / 中華民国 / 北京政府 / 立憲主義・立憲運動 / 中央・地方関係 / 清末 / 重慶国民政府 / 清朝 / 南京政府 / 上海 / 日中戦争 |
研究概要 |
本研究では中国民主化の内在的な契機を都市に求め、同時にまた、それを抑圧しかねない大衆文化状況も都市において形成されつつあったとの作業仮説を立て、「都市と権力」の問題を論じようとした。そのために本研究が具体的に着目したのが、天津・北京・昆明・上海・重慶・香港の六都市であった。 これらの都市を舞台とした都市と権力との相関関係は大略、次のようにまとめられる。清末から中華民国期において、雑誌・新聞を中心とするメディア空間で示された議論は、都市において初歩的な「公共的な政治空間」を形成することに成功した。それは上海や平津地区などごく一部の先進的な都市に限定されてはいたが、中国国民党からも中国共産党からも相対的に自律した立場に立った知識人は、世論を呼起し、また世論に支持されながら、国共両党がそれぞれ示した「党国家」体制を原理的に批判し、1949年革命に対するオルタナティブを提示するに至った。 本研究では上記のような議論を展開した人びとを中国のりベラリストと位置づけたが、それは彼・彼女らが高揚するナショナリズムに対して、極めて冷静な対応をとり、"個の尊厳"を基礎とするリベラルな諸価値を中国に定着させるための政治制度・政治文化の形成・定着を、メディア空間を通じて実現しようとしたことに起因している。 だが、こうしたリベラルな議論は当然のごとく国民党および中共といった政治権力から批判されることになった。また彼・彼女らを批判したのは、国共両党だけではなかった。当時、英国の植民地として、国民党の統制が比較的にいえば及ばなかった香港の左派系知識人からは、強烈なリベラリスト批判が展開されたのである。香港における相対的に自由な言論空間は、リベラルな議論を批判する役割も果たしたといえよう。
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