研究課題/領域番号 |
18K01217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 一橋大学 (2021) 神戸大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
安藤 馨 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (20431885)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 法概念論 / メタ倫理学 / 法的判断 / 法的言明 / 事実認定 / 法実証主義 / フィクション説 / メタ規範理論 / 法的推論 / 法哲学 / 意味論 / 道徳的非実在論 / フィクション / 法意味論 / 法存在論 / フィクション論 |
研究成果の概要 |
下級審の裁判官がある「事実」を認定する。そのことによってその「事実」は成立し、その結果が国家によって実力的に執行される。他方で、上級審の裁判官は、しばしばそれとは反する「事実」を過去にさかのぼって作出する(すなわちある意味で過去を書き換える)。刑事裁判では、しばしば存在する証拠を排除して(=意図的に無視して)認定された(すなわち認識合理的でない)「事実」が判決の基礎となる。これらの実践が如何にして正当化可能か。本研究では、生の事実と区別された「法的事実」が存在するという見解を批判し、裁判で問題になっているのは事実性ではなく法的正当性であり、それが国家の実力行使の正当性基盤であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
法的な「べき」を巡る近年の哲学的議論はメタ倫理学を応用することによって取り扱われるようになってきている。しかし、それでは取り扱えないのが、裁判官の行う事実認定である。裁判官の事実認定は「法的事実」を作出するとしばしば理解されているが、この見解は終審裁判所の不可謬性などを含意するという難点を有し、法に基づく国家の実力行使の正当性という法の支配の基本的理念と困難な関係を有している。この研究では、我々の社会にとって根本的に重要な法の支配や国家の実力行使の正当性を支えるものは、(願わくは民主的に統制された)裁判官に与えられた「法的事実」を創造する権力なのではなく、法そのものの正当性であることを示した。
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