Project Area | Hypermaterials: Inovation of materials scinece in hyper space |
Project/Area Number |
19H05819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高倉 洋礼 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30284483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 徹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所, 副所長 (30343932)
松浦 直人 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 主任研究員 (30376652)
門馬 綱一 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (30552781)
松下 能孝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 副ステーション長 (70422441)
藤田 伸尚 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (70431468)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥172,380,000 (Direct Cost: ¥132,600,000、Indirect Cost: ¥39,780,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
Fiscal Year 2022: ¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
Fiscal Year 2021: ¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2020: ¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2019: ¥109,850,000 (Direct Cost: ¥84,500,000、Indirect Cost: ¥25,350,000)
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Keywords | 準結晶 / 近似結晶 / 補空間 / 静的構造 / 動的構造 / 相形成 / 相安定性 / 構造可視化 / 高次元結晶 / 結晶成長 / バーグマンクラスター / 高次元結晶構造解析 |
Outline of Research at the Start |
ハイパーマテリアルとは、準結晶や近似結晶など、補空間を含む高次元空間で統一的に記述される物質群をさす。高次元と高対称で特徴づけられるハイパーマテリアルの構造的側面に焦点をあて、その原子スケールからマクロスケールまでの静的・動的構造を組織的に解明する。実験室系X線回折による静的構造解析に加えて、複雑な構造モデルの可視化、ハイパーマテリアルの構造的特徴を抽出するためのトポロジー探索、放射光・中性子大型施設の最先端計測法を駆使した、相転移、散漫散乱、フォノン・補空間ダイナミクスの観測により、ハイパーマテリアルの詳細な構造的知見を得ることで「補空間が創る新物質科学」の構築という目標達成に寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
高次元と高対称で特徴づけられるハイパーマテリアルの構造的側面に焦点をあて、その原子スケールからマクロスケールまでの静的・動的構造を組織的に解明し、その構造的知見にもとづいて、個々の物質群を越えて、ハイパーマテリアルが普遍的に示す安定化機構や、特異な物性機能を理解するための補空間物質科学の構築の基礎を与えるのが目的である。今年度はMg-Al-Ga-Zn系3/2-2/1-2/1近似結晶の構造決定に成功した。予備段階であるが、Al-Cu-Ru系正20面体準結晶における粉末X線回折パターンの温度依存性を取得し、Al系準結晶に見られる高温比熱の増大の前駆現象と思しき現象を観測した。dualized Ammann-Kramer-Neriタイリングの大域的性質(自己相似性)や局所構造の理論的調査を進めた。Cd-Mg-Ce系1/1近似結晶に見出された二種類の構造多型の形成条件を詳細に調べ、構造解析の結果に基づいてクラスタ中心を占める四面体の配向とクラスタ間空隙サイトの原子占有との相関を明らかにした。放射光コヒーレントX線回折測定で用いる良質のAl-Cu-Ru系1/1近似結晶のミクロンサイズ球状粒子を得る為に、アトマイズ合金粉末に対する熱処理条件の最適化を進めた。ダイナミクス観察を行うため、放射光コヒーレントX線回折によるX線光子相関分光法の整備を進め、Al-Cu-Ru系正20面体準結晶および近似結晶への適用を行った。中性子散乱においては、Al-Pd-Mn系正20準結晶のフェイゾン精密測定、長距離磁気秩序を示す近似結晶Au-Al-Tb系における結晶場の原子置換効果の研究を行った。構造可視化については、磁気構造を6次元ないし5次元空間上の周期構造として取り扱い、磁気対称性に従って可視化することを可能とした。また、補空間の可視化機能を部分的に実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず構造未知なMg-Al-Ga-Zn系3/2-2/1-2/1近似結晶の構造決定に成功している点が挙げられる。また、dualized Ammann-Kramer-Neriタイリングに関する研究や、Cd-Mg-Ce系1/1近似結晶の二種類の構造多型に関する研究などの成果の一部が論文化された。Al-Cu-Ru系1/1近似結晶をほぼ単相で含む微粒子を得る為にアトマイズ合金粉末に対する最適な熱処理条件が分かったため、今後はより良質の試料を用いた放射光コヒーレントX線回折測定が行えるようになった。また、放射光コヒーレントX線回折によるX線光子相関分光法の整備により、高温環境下でのメゾスケール構造のダイナミクス計測が可能となった。それをAl-Cu-Ru系正20面体準結晶および近似結晶へ適用し、400℃程度以上の温度領域でダイナミクスの変化と考えられる結果が得られている。フェイゾン精密測定ではシミュレーションから予測されていた比熱異常が見られる温度付近でのAlの拡散は見いだせなかった一方、シミュレーションの予想よりエネルギー幅の広い準弾性散乱が観測された。Au-Al-Tb系における結晶場測定からは、原子置換によって e/aを増加するとともに結晶場に明らかな変化が観測された。構造可視化においては、高次元の対称性情報を保ったまま、準結晶や近似結晶の原子配列や磁気モーメント配列を可視化できるようになり、統合可視化プログラムの完成まで間近になった。一方、高真空対応型電気炉において、Be窓破損に伴い、真空引きが出来なくなり、また、修理が想定よりも大幅に長引いたことによって、Al系準結晶における高温比熱の増大の前駆現象の再現実験の実施ができなかった。装置トラブルで実施できなかった実験もあるが、静的構造、動的構造、構造可視化の観点から、おおむね順調に研究が進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
ハイパーマテリアルの典型である準結晶・近似結晶の構造解析を進める。dualized Ammann-Kramer-Neriタイリングの研究を更に進め、手法を応用してAmmann-Kramer-Neriタイリングに関する未解明の問題(自己相似性、マッチングルール等)に取り組む。長周期及び準周期のカノニカルセルタイリングを生成する新手法を検討する。近似結晶に引き続き、Al-Cu-Ru系正20面体準結晶の単相微粒子を得るためのアトマイズ合金粉末に対する熱処理条件の最適化を進める。得られた微粉末試料に対しては、放射光コヒーレントX線回折を用いて、メゾスケール構造のイメージングとダイナミクス観察を進める。特に、Al-Cu-Ru系準結晶および近似結晶について昨年度に観察され始めた高温でのダイナミクス変化について、詳細なデータ取得を行う。中性子散乱において得られたフェイゾンシグナルについて、理論モデルと比較してその起源を検証する。長距離磁気秩序を持つ近似結晶については、低エネルギー領域の精密測定からスピン波を観測することを目指す。また、量子臨界を示すAu-Al-Yb系準結晶については、幅広い温度(1.5-300K)とエネルギー(1-20meV)におけるE/Tスケーリングを検証する。準結晶および近似結晶の統合的な構造可視化や比較のためのプログラム開発を引き続き行う。次年度は引き続き補空間の可視化、および使い勝手の改善に注力する。予備実験で見出されているAl-Cu-Ru系準結晶の高温比熱の増大の前駆現象に着目して高真空対応型電気炉を用いて系統的な実験を実施し、引き続き放射光・中性子実験や物性評価にもつながる橋渡しを行う。また、Al-Pd-(Ru,Fe)系近似結晶で見られている構造相転移とナノドメイン構造の形成過程についても、高温X線回折によりその詳細なメカニズムについても検討をする。
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