Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
気管支喘息の基本的な特徴である気道過敏性について,中枢神経系やその刺激の経路である迷走神経,神経末端の神経ペプチドの関与について,モルモット実験喘息を使って検討を加え以下の知見を得た。 1.情動ストレス(拘束)によって抗原吸入時の気道反応が著明に亢進し,致死率が高くなった。 2.拘束群では気管,大気管支,肺の組織ヒスタミン値の上昇が認められた。 3.知覚神経末端のサブスタンスPや,CGRP(carcitonin geneーrelated peptide)遊離作用のあるカプサイシンの大量投与(50mg/kg)によって,拘束ストレス群だけでなく対照群の抗原吸入時の気道反応が減弱した。 4.両側頚部迷走神経電気刺激によって,気道抵抗の上昇,血中ヒスタミン値の増加,気管支の血管透過性の亢進が認められた。 5.前視床下部(迷走神経のト-ヌスに関与)の電気的破壊によって,抗原やヒスタミン吸入時の気道反応性の低下が認められた。 6.卵白アルブミン(OA)で吸入感作した動物では,硫黄臭のあるDMS(dimetylsulfide)溶液(条件刺激)とOA溶液(無条件刺激)をpairで吸入させ,アナフィラキシ-反応をおこさせた条件づけ群では,DMS溶液の吸入だけで,OA吸入時と同程度の血中ヒスタミン値の上昇が認められ,対照群との間に有意差が認められた。一方,皮下注射による感作群ではOA吸入時の気道反応も弱く,血中ヒスタミンの上昇も認められず,条件づけによるヒスタミン遊離は認められなかった。 以上のことから,気道反応過敏性(反応性)には,Barnsらの提唱した気道局所の炎症とAxon reflexによる機序のほかに,ストレスや条件づけ,前視床下部破壊実験の結果から考えて中枢神経系の影響を受けており,おそらく迷走神経系と神経末端の神経ペプチド類を介して調節されているものと思われる。
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