Project/Area Number |
04041035
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Field Research |
Research Institution | Tokai University (1993) The University of Tokyo (1992) |
Principal Investigator |
沼知 健一 東海大学, 海洋学部・(東京大学・海洋研究所), 教授 (30013569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 農学部, 助教授 (60116952)
宮崎 信之 東京大学, 海洋研究所(国立科学博物館 技官), 教授 (40101464)
立川 涼 愛媛大学, 農学部, 教授 (50036290)
矢部 衛 北海道大学, 水産学部, 講師 (80174572)
小林 敬典 農林水産省, 養殖研究所(東京大学・海洋研究所 助手), 技官 (70205467)
西田 睦 福井県立大学, 海洋生物資源(琉球大学・理学部 講師), 助教授 (90136896)
後藤 晃 北海道大学, 水産学部, 助教授 (30111165)
上島 励 筑波大学, 生物科学系, 助手 (20241771)
大高 明史 弘前大学, 教育学部, 講師 (20223844)
石綿 進一 神奈川県, 環境科学センター, 主任研究員
菊地 義昭 茨城大学, 理学部, 助手 (80007567)
内藤 靖彦 国立極地研究所, 教授 (80017087)
益子 計夫 帝京大学, 文学部, 助教授 (00082321)
森野 浩 茨城大学, 理学部, 助教授 (30091870)
和田 英太郎 京都大学, 生態研究センター, 教授 (40013578)
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Project Period (FY) |
1992 – 1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥20,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Keywords | バイカル湖 / 系統進化学 / 有機塩素汚染 / アザラシ / カジカ目魚類 / ヨコエビ / 進化系統学 |
Research Abstract |
バイカル湖での研究を実施上、3班に編成し、A:アザラシ、有機塩素汚濁、B:魚類、C:無脊椎動物グループとし、1992年〜93年の夏期を中心にロシア科学アカデミー湖沼学研究所の協力を得て、ベルシャギン号500トンなどで調査し、多くの生物試料等を持ち帰って分析を行ない、1部の重要な知見が明らかになりつつある。44頭のバイカルアザラシのミトコンドリヤDNA(mtDNA)を10種類の制限酵素で切断分析した結果、3種類のゲノム型だけが見出され、変異性が小さいことから、バイカルアザラシは少数の個体からなる集団に起源し形態の特化などもこれによるものと考えた。バイカルアザラシの起源と系統進化的関係を究明するため、カスピ海、ラドガ湖、北海、バルト海、オホーツク海のワモンアザラシを採集あるいは入手して、分析中である(沼知ら)。バイカルアザラシの年令差定法、生長、成熟、器官の相対的大きさ、雌雄差などを明らかにした(宮崎ら)。湖水、大気、底質、土壌などを分析し、アジア地区の他の地方に比べれば低濃度であったが、DDTsとPCBsの汚染源がこの地方にもあり、アザラシ諸組織中の量はヨーロッパ、アメリカ産と匹敵し、有機塩素は乳汁からそのほとんどが第1仔に移行し、1987-1988年のテンパー様バイラスによる斃死が、この汚染による抵抗力の低下に関連すると考えた。有機塩素等の大気、湖水モニタリングシステムをバイカル湖畔に設置した(田辺ら)。 バイカル湖で適応放散によって分化したと考えられるカジカ類をヨコエビとともに進化生物学的研究の対象とした。ここに分布する27種中の24種を採集し、ミトコンドリヤと核DNAの特定領域をPCR法で増幅して、その塩基配列の異同から系統進化を研究しつつある(西田ら)。一方、アイソザイムの分析結果から、日本/バイカル湖産カジカ、バイカル湖産間では17遺伝子座中の5遺伝子座と1〜3遺伝子座で置換があり、バイカル湖産間の遺伝的距離(D)は0.464とかなり小で、形態的には多様なバイカル産カジカも共通の祖先に由来し、Batrachocottus multiradiatusもAbyssocottidaeときわめて近縁であることを示唆した(後藤ら)。一方、透明な体と長い胸鰭の形態的特化で知られるゴロミヤンカComphorusの筋肉系の精査からこの種はバイカル湖に固有のCottocomephoriniから分化したのではなく、他のバイカルカジカとは異なった外来種起源と推定した(矢部ら)。 バイカル湖で湖沼学的調査を行なって、酸素量、CH_4の垂直的分布から湖水は垂直的によく混合していること、プランクトン組成は内湾と外洋とに2分された。^<15>N同位体比は、魚、アザラシと栄養段階が上がるにつれて段階的に増加し、それらの栄養段階を特定する鍵になることを示した(和田ら)。系統進化学上興味深いヨコエビ類の4亜属の全部をふくむ16種を採集し、種類によっては岩礁質の特定の深い場所に分布するものなどがあることを詳細に示し、種組成は垂直的に異なっても水平的にはそれほど差がないことを明らかにした(森野ら)。26地点から採集したバイカル湖産ヨコエビEulimnogammarus cyaneusを分析した結果、17遺伝子座中の5遺伝子座が多型的で、分析がほぼ終了したGPI遺伝子座では地域によって遺伝子頻度が有意に異なることが明らかになり、ヨコエビ類の遺伝的分化と集団構造を明らかにする見通しを得た(益子ら)。バイカル湖産ソコミジンコH.inopintaとBathynella bacicalensisと、日本に分布する種をふくめて系統進化学的に研究を進めている(菊池ら)。バイカル湖地方のカゲロウ類でEphemerellaの新種2種、新たに分布を確認した5種を明らかにした(石綿ら)。貧毛類ではバイカル湖のRhyacodrilus sp.(AS)は明らかに新種で、また別種とされたなかにSynonyumがあることが明らかになった(大高ら)。バイカル湖産の巻貝Megalovalvataを保守的と考えられるmtDNAの領域をプライマーに増幅を計ったが不成功で、別途研究中の巻貝と同様遺伝子と塩基配列が著しく分化しているものと考え、遺伝子ライブラリーを作成中である。
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