Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
各種腫瘍細胞におけるグルタミン代謝の偏りを指摘する報告は多いが、より自然発生癌に近い、化学発癌薬により誘発した肝細胞癌での知見はまだ得られていない。そこで筆者はラットを用、3′-methyl-4-dimethyiaminoazobenzene(DAB)の投与により肝細胞癌を作製し、病理組織学的観察を行った。また、肝細胞癌,悲癌部肝組織内グルタミン、グルタミン酸濃度を測定するとともに、グルタミン合成ならびにグルタミン分解酵素活性とAmidophosphoribosyltransferase活性を測定した。肝細胞癌組織内ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化能を調べ、これを正常ラット肝と比較することにより、肝細胞癌組織内グルタミン代謝の特性について検討した。さらに、プリン代謝系の特徴を知るためc-AMP,Hypoxanthine(Hx),Xanthine(X),尿酸値を測定した。次の事実が判明した。1.肝細胞癌では正常肝と比べてグルタミン濃度が特異敵に低下していたが,逆にグルタミン酸濃度は上昇していた。2.肝細胞癌では,正常肝と比べグルタミナーゼ活性が亢進している反面,グルタミン合成酵素活性が低下していた。3.肝細胞癌ミトコンドリアは,グルタミン酸を呼吸基質として利用するだけでなく,正常肝細胞ミトコンドリアではあまり利用出来なかったグルタミンもエネルギー産生の気質として利用した。4.非癌部で合成されたグルタミンは癌部に供給されていることが示唆された。5.肝細胞癌では,プリン合成の律速酵素であるamidophosphoribosyltransferase活性が上昇していた。また,非癌部でも上昇していた。6.Hx,尿酸は癌部,非癌部で有意に低値であった。7.Xは癌部で非癌部,正常肝と有意に低値であった。また、肝細胞癌治療の可能性を求めて,肝細胞癌担癌ラットにグルタミン代謝拮抗剤DONを7日間持続投与し,非投与群との生存率と生存曲線を検討した結果,DON投与群で有意に高い生存率を認めた。
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