Research Abstract |
今回、卵巣癌における細胞接着分子の転移,再発機序に関する検討に当って、その基礎的研究を行うために、当大学にて剖検された78例の卵巣癌症例について転移、再発様式についての検討を行った。この結果、卵巣癌の転移様式については、肝臓、腎臓、脾臓といった実質臓器への転移様式から、従来考えられていたものと異なった特殊なものがあることが認められた。特に、化学療法の発達により、長期生存の存在と化学療法薬剤の薬理動態や特性により転移様式と形態に変化を認めることがあきらかとなった。これらは、形態学的には、転移巣と原発巣の比較より細胞接着分子の関連がうかがわれた。また、転移機序についても細胞接着分子の関与が考えられた。以上の結果については、別紙に示す研究報告として発表した(日本産婦人科学会雑誌,日本病理コルポ学会雑誌)。さらに、特異な再発様式を示した症例についてはその原発、および再発腫瘍についての形態のみならず、腫瘍マーカー、細胞接着分子について検討を行い報告した(Int J.Gynecol Cancer)。現在、手術摘出検体に対してCadhelinを主とした接着分子を免疫組織学的に検討しいる。また、卵巣癌培養細胞株(KOC-1S,KOC-2S,KOC-3S)については抗Cadhelin抗体を用いた、Cadhelin抗原発現細胞の分離を行っている途中であり、これら培養細胞株の細胞接着分子、およびTNF,Fas抗原などを含むapoptpsisとの関連について次年度以降も継続して研究を行う予定である。
|