Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究では,全部床義歯における咬合高径決定法として,咬合高径をランダムに変化させて無歯顎者の下顎位置感覚を測定し,精神物理学的手法の一つである恒常法を用いて,患者が高くも低もなく丁度よいと感じる快適咬合域を求め,咬合高径を決定する方法について検討を行ってきた.平成9年度には,この快適咬合域は測定日間で再現性の高いことが示され,その測定をより簡便に行うための下顎位置感覚測定装置の開発により,測定時間が大幅に短縮され,臨床応用が可能となった.本法の特徴の1つとして,咬合高径決定後,直ちにゴシックアーチの描記とチェックバイトの記録を行うことが可能であり,より客観的な顎間関係記録が可能である点があげられる.従来の装置では,ランダムに咬合高径を変化させるためのスタイラスがスクリュー式になっており,患者ごとに高さを変化させることが可能であったが,スクリュー部分を保持するのに数mmの高さが必要なため,スタイラスの保持部分が記録板の裏面に大きく突出していた.これが舌房を侵害するために,保持板を上顎に,記録板を下顎に装着することに限られていた. そこで本年度は,スクリュー式でなく各個の高さは固定で,1mm間隔で高さの異なる砲弾型のスタイラスを13種類用意し,その中から個々の患者に対して適応する6から9種類の高さを選択して測定を行うことで,保持部分の高さを小さくした改良型の下顎位置感覚測定装置を開発した.この改良型装置を用い,従来のようにスタイラス保持板を上顎に装着する場合と,下顎に装着する場合の下顎位置感覚の測定を実際の無歯顎者に対して行った結果,求めた快適咬合域には差が認められなかった.また,顎堤吸収の程度や顎堤形態不良などによって,スタイラスの取り付け位置を考慮する必要性が示唆された. さらに,本研究の患者の感覚を利用した咬合採得に関連する研究課題として,より再現性が高く客観的な無歯顎者の印象採得方法にピエゾグラフィを取り入れ,義歯床の形態に対する心理的影響などの基礎的研究を行っている.主に発音を利用するこの印象法において,あらかじめ本法によって求めた快適咬合域を参考に咬合高径を決定することによって,より再現性の高い機能運動を行わせることが可能となった.
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