Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
手術時に得られた正常皮膚を顕微鏡下にて切断し,わずかな表皮と真皮・皮下脂肪(毛包も含む)が残った皮膚片を器官培養した。すると,わずかに残った表皮と真皮内の毛包からかなり急速にケラチノサイトが遊走し,3日目にはエピボリーを作ってしまうことを観察した。この時真皮内のエクリン汗管からのケラチノサイトの遊走はみられなかったが,切除断端部近辺の導管部汗腺細胞は抗PCNA抗体に陽性で,断端部の細胞の分裂が活発になっていることが考えられた(未発表)。更に手掌や足底といった毛包を持たない正常な皮膚を用い,その真皮中層で切断(汗腺の真皮内導管部と分泌部が存在する)したものを作成。器官培養を行い,経時的に観察しながら真皮内汗管の細胞の動きを観察していくと,約1週間程度で汗腺の表皮内汗管の構造と同様な螺旋を作りながら細胞が増殖しているのも観察した。さらに時間的経過を追うと周囲の方へ伸びだすことも観察した(論文執筆中)。すなわち表皮の再生には,周囲の表皮と毛包からかなり急速にケラチノサイトが遊走して上皮化に関与しているが,これらがない場合においては,時間経過はかかるものの,予備機構として汗腺からも上皮化が生じてくることをin vitroで証明した。 また正常の汗腺の真皮内汗管を細胞培養し,さらにフィルター上に植えかえて培養すると,一部の細胞が表皮内汗管の細胞に分化していくことを観察した。 しかしその細胞が形成した汗管が,正常の汗管と同様な機能を持つこと,そして周囲へ伸びだしてきた汗腺細胞は,表皮細胞や毛嚢細胞のように完全に皮膚欠損層を覆い,分化していくかどうかはまだ不明であり,今後の研究の課題である。
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