Project/Area Number |
17730019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
奥谷 健 島根大学, 法文学部, 助教授 (70335545)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 所得課税 / 人的控除 / 配偶者控除 / 扶養控除 / 応能負担原則 / 主観的純額主義 / 所得概念 / 所得税 / 所得控除 |
Research Abstract |
本研究の成果として、「扶養にかかる人的控除と社会保険料負担-2005年1月11日連邦憲法裁判所判決の検討-」(島大法学49巻4号)を公表した。その内容は次のとおりである。 現行所得税法は、応能負担原則・生存権保障の要請から、納税義務者がその家族を扶養する場合に、その最低生活費分を納税義務者の所得算定において考慮するための制度として、配偶者の扶養にかかる配偶者控除、親族扶養にかかる扶養控除を規定している。しかしながら、これらの制度には次のような問題がある。(1)担税力という観点から、税額確定のどの段階で考慮するべきかという問題、(2)家族が自身で所得を得ている場合に、その所得が一定金額以下であれば、自らの基礎控除と納税者における扶養にかかる控除との双方の適用(二重の控除)を受けられ不平等が生じるという問題、(3)家族が得ている所得が社会保険料負担を生じさせる場合、その負担は担税力を減少させるものとして考慮するべきかという問題、(4)配偶者控除は、所得が適用限度額を超えた場合に、手取りの逆転現象を生じさせないようにするため消失控除方式の配偶者特別控除があるが、扶養控除にはそのような措置がないという問題、である。 (4)の問題について、これらの制度が同じ趣旨のものであることから、統一的な制度にすべきことを指摘した。(1)については、これまでのドイツにおける基礎控除の議論を参考に所得控除にすべきであると指摘した。(2)と(3)について、ドイツでの納税者の個人的事情を課税段階で考慮するための原則、主観的純額主義議論を参考に、そして、ドイツ連邦憲法裁判所での最新の違憲判決をもとに検討し、社会保険料負担を考慮すること及び厳格な消失控除方式の必要性を指摘した。 これらの結論のもとになっているのは主観的純額主義を中心とする応能負担原則であり、担税力の指標である所得概念と密接な関係を有する。そこで、本研究の対象である市場所得概念と、この主観的純額主義、応能負担原則との関係をより明確にするために、引き続き研究を進めている。
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