Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
昨年度,ゴカイ類の付属肢形成時には,その背側基部にwingless(wg)遺伝子の発現が再配置されることを見出した.本年度は,このwgの再配置をより明確にするために,他のWnt遺伝子(WntA)およびWntシグナルの下流因子である701遺伝子を単離し,その発現パターンを解析した.結果,ゴカイ付属肢では,wgとWntAが相補的に発現しているなど,wgが再配置される背側基部は分子的にも異なる基盤をもつことが示唆された. さらにこのwg発現の再配置が前口動物の中でもより高等な昆虫類においても生じるのかを明らかにするために,イシノミ類,カゲロウ類でISH法を確立し,それぞれの付属肢形成におけるwg発現を解析した.その結果,両者ともに,付属肢の背側基部(底節)に局所的なwg発現がみられたことから,体節ごとに発現するwgの付属肢背側基部への再配置は,前口動物の間で進化的に保存されている機構と考えられた.さらに,そのwg発現は,発生が進行するにつれ,イシノミ類のexite,およびカゲロウ類のtracheal gillといった,付属肢より生じる新奇形質の形成に関与することが明らかになった.加えて,ショウジョウバエのwgの直接飛翔筋のmyoblastに発現するapterous遺伝子が,ゴカイ類の付属肢では背側基部のwg発現領域に近接するmyoblastに特異的に発現する結果も得られた.以上の結果から,前口動物の付属肢進化では,付属肢の背側基部に再配置されるwgが新奇形質を創出する重要な分子基盤の一つであると考えられた. 本年度では,さらにこのwg活性を人為的に低下させる目的で,ゴカイ類におけるRNAi法の確立も開始した.まず対象としたD11遺伝子のRNAiでは,遺伝子発現部位において一時的な形態異常がみられた.現在,より効果を上げるためにさらなる改善を試みている.
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