Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
運動誘発性の末梢循環不全について,細動脈レベルでの血管収縮弛緩応答性に着目して研究を進めた.筋組織への血液供給量は血管運動(vasomotion)による血管口径の変化によって調節されている.しかしながら,筋活動直後の血管運動と交感神経系の関連を調べた研究は少なく,運動直後の血管トーヌスにおける交感神経系の役割は明らかにされていない.そこで,本研究は次の仮説を検証した.1.連続的な筋収縮後の血管運動では漸増的に血管卜ーヌスが高まる.2.血管卜ーヌスの増加は交感神経系が関与している.本研究ではWistar系雄ラットの脊柱僧帽筋を対象としたin vivoモデルを用いた.100Hzの強縮刺激条件(4-6v, 0.7sec×50回,10セット,インターバル;5min)で筋収縮を誘発した.また選択的α1-アドレナリン受容体拮抗剤であるparazosin(1μM)を各セット前に脊柱僧帽筋に付加し,同様の手順で筋収縮刺激を負荷した.安静時と刺激後の組織画像を連続的に撮影し,細動脈および細静脈血管径を測定した.血圧および筋の発揮張力を同時に計測した.心拍数,平均血圧は筋収縮前後で顕著な変化を示さなかった.筋発揮張力において1セット時の初期値(5回の平均)を基準としたところ,1セット目に対して10セット目に67.6±8.4%低下した.prazosin付加では張力の低下率が小さかった(39.7±13.1%).また,細動脈において刺激直後に血管内径の減少が生じ,その程度はセット後半で増加した.一方,細静脈では筋収縮直後の内径縮小は観察されなかった.また,prazosinを付加した場合では,セット後半(10set)に観察される血管収縮が有意に抑制された.以上の結果から,連続的な強縮負荷とともに交感神経系の血管収縮作用による漸増的な血管トーヌスの増加が生じることが示唆された.運動後における交感神経系の血管トーヌスの増加は,活動組織への血液供給の遅延を生じるため,組織酸素分圧などの回復に影響を及ぼす可能性が考えられる.なお,研究計画に予定していた筋損傷を誘発する筋収縮と末梢循環動態との関連性については,実験モデルが確立できなかったため,検討することができなかった.
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