Project/Area Number |
18K00167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
久貝 典子 沖縄県立芸術大学, 芸術文化研究所, 研究員 (30812979)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 近世琉球 / 近代沖縄 / 琉球の染織物 / 沖永良部の民俗衣装 / 黒朝 / 染織物 / 染織物の技術 / 貢布 / 琉球産布 / 輸入織物 / 首里城 / 交易 / 琉球 / 歴史 / 文化 / 貢納布 / 琉球・沖縄の染織 / 染織の歴史の再編 / 染織語彙解釈 / 染織文化の伝播 / 鎌倉芳太郎ノート |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績を以下の通り報告する。 論文掲載については、3月「『校注 琉球戯曲集』に記された三つ葉布をめぐって ―宮古蔵・村芝居の踊り衣装との関連から―」(芸能学会編『年刊 芸能』第29号)が掲載された(PP.92‐101)。同論文は「三つ葉布」の語源に関する考察と、貢布としての芭蕉織物が宮古蔵に納められていたことなどについての考察をまとめたものである。2024年2月、福木ひろめる会編『「緑の至宝フクギ」普及活動10年誌誌」』に「フクギが染める、沖縄の黄色」と題した報告を寄稿した。同誌は活動10周年を記念して発行されたものである。多くの識者が寄稿しており、植物染料としてのフクギを理解するという目的のため、小文を掲載した。 口頭発表については7月22日、沖縄民俗学会7月例会にて「鎌倉芳太郎の先島染織調査」というテーマで発表を行った。鎌倉芳太郎が戦前に行った先島での染織調査について、先島の各調査地に関する話題や染織調査の様相を報告した。9月23日、沖縄文化協会東京支部東京公開研究発表会にて「久米島の染織調査 ―2021~2022年にかけて―」というタイトルで口頭発表を行った。コロナ禍で調査を行った近代久米島の染織物やハチマチに関する報告をした。 調査に関しては、2024年3月14日、宮古島市総合博物館所蔵の『白川氏系図家譜』2点、古衣装3点を日帰り調査した。琉球大学の教員・大学院生各1名、美ら島財団職員1名と同行した。また同年3月18~21日、鹿児島県和泊町歴史民俗資料館所蔵のノロ・その他衣装の調査を行った。同調査の日程及び調査内容について、18日は民俗資料館での民俗衣装調査、19日は某家所蔵のノロ衣装11点・装身具6点、20日は民俗資料館のノロ・その他衣装の調査という流れで進めた。琉球大学教員1名、同大学院生1名と調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、コロナ禍の影響を受けた体調不良などの理由で、2024年度の延長申請を行った。現在「鎌倉ノートを一次資料とした染織語彙の作成及び琉球・沖縄研究の総合的研究」というテーマで語彙解釈集を作成中である。 具体的な作業を説明すると、次の通りとなる。一次資料から抽出した染織用語は3389である。これらの用語の中には、同じ事柄や意味を示すものがあるため、選択して半分の項目数にする(1500~1600項程度)。現在、全体の40~50%に相当する1152項目を作成中である。作成の一例を紹介すると、次の通りである。 528けんちゅうはししろいとたてもめんふ【絹綢(羊+巴)子白糸経木綿布】①「絹綢」はつむぎ、「(羊+巴)子」は獣毛など。それらの糸を混ぜて織った木綿布のことか。江戸立ちの使者のうち、黄冠の座敷当の脇方の者が着る衣装。「座敷当座敷御使者之時并王子大親按司附役以下之役々御目見之時紗綾絹綢子紬脇方は絹綢(羊+巴)子白糸経木綿布之類着用之事」。 ③「旅御国元衣服定」 ④59-506 〔沖〕 最初の「528」は項番号、次によみが入り、【】内はノート資料中の実際の表記である。①は解釈、②は用例があれば列記する。③はその用語が収載されている鎌倉ノートの資料名、④はノート番号と頁数、〔〕はその資料の産地や記録された場所を表している。なお、鎌倉ノートは現在重要文化財として指定を受けているため、原資料に直接あたることは難しいため、便宜上『鎌倉芳太郎資料集』全4巻に所収のノート番号・頁数を記載している。以上が現在までの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
年度内の研究の推進方策について、最重要の課題である語彙集解の作成については8月までに原稿を仕上げ、9~10月までに校終、11~12月に刊行する。その後年度内に各機関への配布を終了する計画である。 その他の年度内の具体的な予定については、7月17日に「鎌倉芳太郎と紅型」というテーマで公開研究発表を行う(オンデマンド)。また、10月5日の「2024年度東京公開研究発表会」で、「鎌倉芳太郎資料集にみる染織用語について」(仮題)として口頭発表を行う予定である。 以上が年度内における本研究の具体的な予定であるが、それ以後の研究の展開として、語彙解釈集に解題をつけた改訂版の発刊を計画している。また、この数年調査している久米島、宮古島、沖永良部島の古衣装調査で得たデータをまとめ、冊子として刊行する計画である。特にこれらの現地で収集した資料については、沖縄の染織物の模造復元という視点からみて、何等かの興味深い事柄を付加できる可能性があるので、刊行という方向に向けて研究を推進する所存である。
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