Geometric analysis for unitary transition operators
Project/Area Number |
18K03267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
楯 辰哉 東北大学, 理学研究科, 教授 (00317299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2018: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 量子ウォーク / 固有関数展開 / QWフーリエ変換 / 正値行列値測度 / 弱極限 / 一般固有関数展開 / 一般フーリエ展開 / 転送行列 / 半古典極限 / 正規分布 / 1次元量子ウォーク / 極限分布 / 初期状態 / 周期的ユニタリ推移作用素 / 半古典解析 / 漸近挙動 / ユニタリ推移作用素 / 特異連続スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,前年度に得られた,一般的な2状態変数コイン1次元量子ウォークに対する固有関数展開定理を用いて,量子ウォークの定める確率分布の弱極限先を記述することができないかを,主に考察した。昨年度得られた固有関数展開定理は,一般のCMV行列に対してはすでにGetztesyらにより得られている。しかし我々が昨年度得た公式は,1次元量子ウォークに対してのみ有効な公式であるが,その分非常にわかりやすい。実際,この公式はグリーン関数の単位円周上での境界値により与えられる,正値行列値測度を用いて,例えばスペクトル測度などの主要な情報を記述するものであるが,我々の得た公式群により,いくつかの例で,この正値行列値測度を具体的に計算することに昨年度成功している。それによれば,初期条件を1点に台を持つ関数とした場合の確率分布の弱極限が,正値行列値測度を用いて記述できるものと思われる。この予想は,数少ない極限定理を勘案して至ったものである。この問題に対して,同じく昨年度得られているQWフーリエ変換を用いて確率分布を積分表示して,弱極限を調べるという方針のもとで考察した。残念ながら成功はしていないものの,継続して考察すべき良い問題ではないかと考えている。また,調書の段階で考察対象としていた半古典解析的な極限定理についても考察した。昨年度までの時点で,この問題は実はかなり難しい問題であろうと考え直したため,本年度はあまり時間をかけて考察はしなかったのだが,非常に気になる問題であり,かつ重要な問題である。本年度考察したことは,数年前にも考察した初期条件の選び方の工夫である。現在考えている初期条件の選び方が良い選び方に違いないという傍証はあるのだが,残念ながらまだ進展していない。この問題も非常に重要な問題であるため,諦めずに考察を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の研究で得られた固有関数展開定理は,調書の段階では気付いていない問題であった。これは研究支援者として当時雇用していた遠藤氏との会話で転送行列という概念を知り思いついた問題群であった。Getztesyらがより一般的な枠組みで同様の公式を得ているのだが,枠組みが一般的なため,逆に公式を応用するのが難しい。これに対して昨年度は応用の前段階まで,完全な形で非常に良い結果が得られたものと考えている。そのため,例えば半古典解析的な結果を得ることは出来ていないものの,むしろ順調に進んでいると考えている。しかし,ここ数年,コロナ禍というだけではなく,所属先の通常業務や兼務先の業務が激化していて,思うように研究時間を割くことができない状況が続いている。また,上記の通り研究支援者の雇用により思いついた問題もある。しかし,先行研究が豊富にあることから海外では重要な問題と認識されていても,国内の研究者にとっては独創性の高い問題に見えるようで,共同研究を行うことができない状況である。そのためどうしても一人で研究を行わざるを得ず,さらに業務激化も手伝って,研究がなかなか進まない状況となってしまった。そのため,やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
延長申請をお認めいただいたため,もう1年継続して研究することが可能となった。しかし,上記で説明してきた通り,相変わらず業務量が多く,さらに共同研究を行うことの難しい状況である。そのため,延長された1年間で,主に個人で今まで考察してきた問題に挑戦することを考えている。具体的には,まず,半古典極限の問題を主に考察したい。半古典極限の問題の難しさは,たびたび説明してきた通り,初期条件の選び方が難しいためである。なぜ初期条件の選び方が重要かというと,それにより,いわゆる分配関数が素直な形となるか煩雑な形となるかが決まってしまうためである。実はこの問題について一定の極限定理は得られている。そのため,どうしても結果が出ない場合は,それを論文の形でまとめて公表することを考えている。もう一つは,先にあげた通り,一般固有関数展開定理を用いた弱極限公式の確立である。つまり弱極限をグリーン関数の境界値として現れる正値行列値測度を用いて記述するという問題である。これを解決すれば多くの全く異なる性質を持つ量子ウォークを統一的に取り扱うことが可能となる。量子ウォークの特性はほぼ全て上述の正値行列値測度に集約されるため,今後量子ウォークを応用するにあたり,正値行列値測度がますます重要となるという傍証となる。今後のことも考え,できるかぎり見通しを良くするような考察を残しておければと考えている。
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Report
(5 results)
Research Products
(5 results)