Brain mechanisms of exercise-induced hypoalgesia: possible involvement of the Reward system
Project/Area Number |
18K07372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 名誉教授 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上 勝也 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (20204612)
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40318613)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2018: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 慢性疼痛 / 運動療法 / 脳報酬系 / 側坐核 / 腹側海馬 / 扁桃体基底核 / 恐怖ー回避思考 / 線維筋痛症 / 腹側被蓋野 / ドーパミン / D1/D2受容体 / 慢性痛 / 恐怖記憶 / 消去 / 扁桃体 / 神経障害性疼痛 / 辺縁系 / 恐怖条件付け / GABA / EIH |
Outline of Annual Research Achievements |
運動による鎮痛(Exercise-induced hypoalgesia: EIH)の脳メカニズムについて、神経障害性疼痛(NPP)モデルマウスを用いて検討してきた。その結果、運動により腹側被蓋野(VTA)のドーパミン(DA)ニューロンが活性化し、それには背外側被蓋核のGlu/ACh作動性ニューロンと視床下部外側野のOrexinニューロンの活性化が関与すること、また扁桃体基底核内側部から側坐核への投射が活性化されることにより、鎮痛ととともに積極的な行動が促進され、「恐怖ー回避(fear-avoidance)思考」からの脱却が可能になることを明らかにしてきた。今年度は、以下の課題を設定した。 (1)痛みの慢性化に重要な役割を演じている恐怖条件付けには腹側海馬(vHPC)と内側前頭前野(mPFC)および扁桃体基底核(BA)/中心核(CeA)が働いているが、この回路が運動によりどのように影響されるかということを検討した。恐怖反応の強さはすくみ反応の長さを指標とした。背側mPFC (PL)からBAのnegative neuronsを介してCeAに至る回路は恐怖記憶の形成に働き、vHPC-CA1領域からBLAへの投射は、文脈性恐怖記憶の形に関与する。我々は、NPPに伴うvHPC-BLA経路の活性化が運動により影響を受け、運動が痛みによる恐怖記憶の形成に影響を与えるか否かについて検討した。 (2)我々はこれまで、運動によるVTAのDAニューロンの活性化がEIHに働くことを明らかにしてきたが、側坐核にはD1-Rを発現しGsに共役する中型有棘細胞(MSN)(D1-MSN)と、D2-Rを発現しGiに共役するMSN(D2-MSN)があるが, これらを薬理学的および光遺伝学的に活性化したり抑制したりすると、NPPモデルマウスの神経障害性疼痛の症状にどのような影響を与えるかということについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)坐骨神経部分結紮(PSL)によりNPPモデルマウスを作製し、PSLの前後2週間自発運動を行わせた。恐怖条件付け後の消去テストにおいて、すくみ反応時間がPSL-Runner群において短縮された。vHPC-CA1の錐体細胞はBLAに投射するが、PSL-Sedentary群では、vHPC-CA1の錐体細胞の活性化が亢進していたが、PSL-Runner群ではvHPC-CA1の錐体細胞の活性化が抑制されており、これには運動によるPV陽性GABA介在ニューロンの活性化が関与することが示唆された。 (2) NPPマウスの側坐核にD1-R あるいはD2-R agonistを注入すると疼痛行動が抑制された。D1-Creマウス、D2-Creマウスの側坐核にそれぞれ、AAV5-Flex-ChR2-mCherry, AAV5-Flex-ArchT-GFPを注入し、2週間後にPSL手術を施行した。光遺伝学により側坐核のD1-MSN, D2-MSNを特異的に活性化あるいは抑制を行うと、D1-MSNの活性化およびD2-MSNの抑制はともにアロディニアを抑制した。側坐核の各領域にウィルスを打ち分けても結果は同様であり、VTAにおけるD1-MSNの終末を特異的に興奮させるとやはり鎮痛効果を示した。以上より、VTAのDAニューロンは側坐核に投射して、D1-MSNを興奮させD2-MSNを抑制することにより鎮痛効果を発揮することがわかった。 (3)運動が創傷治癒に与える影響についても検討した。マウスの背部皮膚に傷を作成し、10日間のトレッドミル走を行わせるexercise (Ex)群とsedentary群に分けるとEx群で著明に創傷治癒が促進していた。Ex群ではM2 macrophageが早期より出現し、M2 macrophageが産生するTGFβが創傷治癒と血管新生の促進に働くことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
EIHの脳メカニズムについて、以下の3点に注目してさらに検討を進め、慢性疼痛の治療法としての運動療法の有効性をヒトにおいても明らかにする。 (1)恐怖体験がEIHに与える影響について、vHPC-BLA経路を中心に検討して来たが、さらに、運動がvHPC-IL経路とvHPC-NAc経路を構成するニューロン群を活性化するかどうかを明らかにすることによって、運動が恐怖記憶の消去に働く可能性について検討する。 (2)我々は視床下部外側野のOrexinニューロンの活性化がVTAのDAニューロンを活性化してEIHをもたらすことを明らかにしたが、運動によるOrexinニューロンの活性化が、脳幹の諸核(青斑核、中脳中心灰白質など)に影響を与えてEIHに寄与する可能性についても検討する。運動がOrexinニューロンの活性化を介して、鎮痛とともに肥満や2型糖尿病の予防や克服につながる可能性を明らかにする。 (3) NPPモデルマウスにおいて運動実施中にfootshockなどのストレスを与えた場合、その後のEIH効果が弱められることを明らかにしており、その神経メカニズムについて検討を行う。 以上は動物実験による検討であるが、我々は平行して線維筋痛症(FM)患者においても、3週間の入院運動療法を施行し、FM症状の改善とともに、身体能力や心理的要因が改善することを確認している。これらの変化が運動による脳機能の変化と関連するかどうかを明らかにするため、運動療法の前後において安静時fMRIを撮像し、脳の各領域の機能的結合(functional connectivity)の変化を検討して興味深いデータを得ており、論文投稿中である。また、以上のEIHのメカニズムに関する動物実験およびヒトでの運動療法の効果を含めて、英文の総説をまとめることにより、実際の慢性疼痛の治療現場において運動療法の更なる普及を図る。
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Report
(5 results)
Research Products
(69 results)